格差を生む教育制度

 教育も、格差を生む原因となっている。教育そのものというよりは、教育制度といったほうがいいのかと思う。

 教育では、同じ学年のこどもたちを一緒に勉強させる。それが、こどもたちの学力に差が生まれる原因でもある。こどもたちには、飲み込みが早い子もいれば、遅い子もいる。それを一緒に同じスピードで勉強させ、一つの物差しで測るのが学校の成績だ。

 それは、こどもたちが持っている能力ではない。早く習得したか、どうかだけの問題だ。こどもの能力は多様なのであり、習得するスピードも異なる。一つの物差しで測れるものではない。

 それを一つの物差しでしか判断しないのは、教育制度の根本的な問題だ。

 この教育制度では、こどもの親の生活レベルがこどもの学校の成績を左右する原因ともなる。お金のある親は、小さい時からこどもの教育にたくさんのお金をつぎ込むことができる。生活に困っている親は、こどもの教育にまでお金を出すことはできない。それではスタート時点ですでに、こどもには格差が生じてしまっている。

 今の学校教育制度では、この親の格差を緩和することができない。学校教育はむしろ格差を拡大し、こどもの将来を決めてしまう。

 同じことが、発展途上国のこどもたちにもいえると思う。

 発展途上国では、教育が整備されていない。発展途上国のこどもたちには、学校が近くにない、先生がいない、先生が教育を受けていない、親が文盲だ、教材がない、学校教育制度そのものがないなど、いろいろなハンディキャップがある。これらが、工業国のこどもたちとの間でさらに大きな格差が生れる原因となる。

 教育と格差の関連性は、経済性に基づいている。こどもの教育は、国の将来に関わる大きな問題だ。しかし、経済力が教育を左右している。資本主義においては、教育も金次第。金勘定で教育が決まる。それでは、教育において格差は解消されない。経済の下、教育には平等性も連帯性もない。

 経済はさらに、できるだけ早く使える人材を要求する。経済の求める効率性が教育においても求められる。だから、一つの物差しでしかこどもの能力を判断しない。それが、効率がいいということでもある。

 現在、社会は知識化社会、情報化社会、生涯学習社会へと進んでいる。氾濫する情報、知識をどう処理して、使うのか。そのため、教育の意味が益々大きくなっている。教育によって格差が生まれるのは、とても深刻な問題だ。

(2018年11月29日、まさお)

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