地道な市民

縦型社会、圧力社会

 資本主義の基盤は自由競争だ。競争は、格差があるから可能となる。差がないと、勝負はいつも引き分けだ。格差はこれまで述べたきたように、いろいろな方法で造られる。

 競争の下では、経済構造、社会構造において上下関係が造られる。その構造は、縦型となる。上から下に指図するほうが、全体を統率しやすいと考えるからだ。統率とは、本来まとめることだ。だが、実際の経済、社会では成績を上げること、効率を上げることが求められる。ここでも、競争相手との間に格差が生まれれば、競争に勝ちやすい。

 この構造では、どうしても上から下に圧力がかかる。それが、仕事上のプレッシャーや、教育においては成績を上げるプレッシャーとなる。勉強するこどもから働く大人まで、圧力の下で生きるしかない。

 競争が激化すればするほど、上から下に対するプレッシャーが強くなる。それが、前回の記事で書いたように、スーパーマーケットが食品に対する価格圧力を強め、一番下で働く労働者が奴隷のように働かされる原因となる。

 ただ現在、社会ではデジタル化によって横のつながりが強化されてきた。社会構造が横型に変わり、ネットワーク化が求められる。でも、日本のように社会構造が縦型のままでは、構造の横型化に対応するには無理がある。

 縦型構造の仕事において、横のネットワーク化が求められると、何でも一人でこなさなければならない。一人の行う仕事の集中度が極端に上がり、一人一人の負担が極端に増える。それを上からの圧力で、根性でがんばれというのが日本の縦型構造だ。その結果、いくら残業しても処理できず、むしろ効率が下がる。一人の能力でできる限界を超える。それが、労働者を自殺にまで追い込む構図だ。

 日本の昔ながらの根性論は、今の横型デジタル社会ではもう通用しない。がんばれ!だけでは、もう機能しない。まず、社会の縦型構造を横型に変えなければならない。

 でも、日本社会は教育も含め、縦型に固執している。それが、今の日本社会の根本的な問題ではないかと思う。

(2018年12月06日、まさお)

この記事をシェア、ブックマークする

 Leave a Comment

All input areas are required. Your e-mail address will not be made public.

Please check the contents before sending.