都市から追い出される市民
大都市の中心街に、一般市民は住むことができなくなった。中心街は、大手企業の本社ビルやテナントビル、あるいは高級ホテルや高級ブティックに占領されている。
でも、はじめからこういう状態ではなかったはずだ。大都市の中心街にも、一般市民が住んでいた。でも、家賃が高騰する。不動産は投資目的に利用され、高くなるばかり。集合住宅は大手企業に買い取られ、大都市の中心街はある意味で、資本主義を象徴する場に化しまてしまう。
その結果、都市は日中たくさんの働く人で賑わうが、夜になると人っ気のないオフィス街となる。そこには、もう市民は暮らしていない。市民の生活もない。お金を稼ぐだけの場となり、都市はビジネスの場と生活の場に分断される。
市民は、中心街に高くて住めない。人の生活もないので、安い住宅と住み心地のいい環境を求めて郊外に移住する。それが、朝の通勤ラッシュや交通渋滞を生み、スモッグなど公害の原因ともなる。
都市は、豊かになる一方だ。大きなイベントも開催され、都市の魅力が増大する。その分、人を惹きつけるが、居住する場所とは無縁となる。
それが、都市と地方の間の格差も拡大させる。地方から都市にきても、高級ホテルを利用したり、高級ブティックで買い物はできない。
政治も、豊かな都市向きに政策を講じる。豊かな都市に生活できる一部のエリートは益々傲慢になり、地方で地道な生活をする市民のことが理解できなくなる。それが、エリートへの反感を生む。
都市は本来、市民が平等に生活できる空間を維持しなければならなかった。それが、民主主義でもあった。
でも、都市はそれを忘れてしまった。
(2019年1月03日、まさお)
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