冷戦後、資本主義が暴走する
1989年11月9日、冷戦時代の象徴ともいえるベルリンの壁が崩壊した。それとともに、冷戦時代が終わった。
冷戦時代は、資本主義経済体制と社会・共産主義経済体制がバランスをとって成り立っていた時代だった。持ちつ持たれつの関係が保たれていたと見るべきだと思う。それが、お互いの存在を保証していた。
冷戦終結とともに、中東欧社会が民主化される。社会・共産主義経済体制が崩壊し、1990年代に入って資本主義経済体制が一極化してしまう。
同時に、速いテンポでグローバル化がはじまる。グローバル化は、資本主義経済体制による植民地主義化といってもいい。国際市場で活動しやすい多国籍企業などへの投資が拡大し、発展途上国との格差がより拡大される。
資本主義経済体制がネオリベラリズム化し、自由競争が激化する。
そこでは、地元のこと、地元市民のことは何も考慮されなかった。市場とは、販売を拡大して企業利益、投資家の利益を拡大するためのもの。市場である販売地において、産業を維持して市民がどう収入を得ていくのかなど、地元のことは何も考慮されなかった。
こうして、地元産業が破壊されていった。
これは、東西ドイツ統一を見てもわかると思う。統一とは名目だけで、実質は東ドイツが西ドイツの植民地になったにすぎない。東ドイツは、西ドイツ経済の新しい市場としか見なされなかった。東ドイツの産業が破壊されてしまい、莫大な失業者だけが出た。
それで、東ドイツ市民はどうお金を稼いで、物を買って生活していくのか。
それまで、西ドイツ経済は住み分け経済といってもよかった。競争が激化しないように、暗黙の了解で販売技術や販売領域を企業間で住み分けしていた。それが、西ドイツ経済の安定性と生活の余裕をもたらしていた。
しかし統一後、ドイツ社会は過酷な自由競争社会に変貌してしまう。
資本主義経済体制一極化によって、資本主義が暴走したといってもいい。冷戦終結後、グローバル化という新植民地主義によって世界は変わってしまったのだ。
市民は購買意欲を煽られ、借金してまで物を買うのが当たり前になった。
社会は、物をつくって豊かになるという実経済から離れていく。一部の裕福な人たちだけが、投資利益や融資利益を得るためにマネーゲームを行う。お金以外に実質のない架空経済へと変わってしまったといってもいい。
(2019年1月10日、まさお)
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