デジタル化で監視される市民

 スマートフォンやタブレットパソコンでは、位置情報をオンにしておけば(標準設定だと思う)、GPSによって地図アプリ上に現在位置が表示され、マップを見ながら簡単に目的地に着くことができる。

 スマートフォンやタブレットパソコンを失くしても、位置情報がオンになっておれば、どこにあるか追跡することもできる。

 とても便利な機能だ。

 でもぼくは、位置情報をオフにしている。位置情報をオンにしていると、自分がいつどこにいるか、あるいはいたかすべて誰かに把握されるからだ。

 ぼくのスーマトフォンでは、アプリをダウンロードしてインストールする時、スマホ内にあるどの個人情報にアクセスされるか、警告が出る。アクセスされるのは、アドレス帳、写真集、カレンダーなど。

 それでもインストールするかどうか、ぼく自身が判断しなければならない。

 どの情報にアクセスされるかは、アプリによって異なる。アクセス権を認める情報を選択できるが、アクセス権を拒否すると、ダウンロード、インストールできないアプリのほうが多いと思う。

 アプリを無料提供するので、アプリのプロバイダーは個人情報を入手して、それを転売することで利益を上げているのだと思う。無料アプリには、意味があるということだ。

 ぼくのスマホのように警告が出なくても、アプリをダウンロード、インストールする場合、個人情報にアクセスすることを記述しているアプリもあると思う。でもそういう記述は、ほとんどのユーザーが読んでいないと思う。記述自体も、目立つように表示されていない場合が多い。

 オンラインショッピングのプラットフォームで商品を買った場合も、クレジットカード情報を含め、個人情報が転売されたり、何らかの形で利用されていると見ていい。たとえば購入記録は、ユーザーに対する広告に利用される。ユーザーの好みがそれによってわかるからだ。

 スーパーマーケットの買い物カートに、小さなモニターがついているものが出ていると思う。商品にチップをつけて買い物客が購入した商品を把握しながら、その好みを分析してモニターに商品広告が表示される。

 レジで顧客カードを提示すれば、買った商品と顧客が連結され、顧客情報が蓄積されていく。

 そればかりではない。

 現在各地で、テロ防止などの名目で、至る所にビデオカメラが設置され出した。ビデオカメラの撮影した画像を顔認識ソフトを使って、身分証明書の顔写真と連結すれば、誰がいつどこで、何をしていたか、すべて把握できる。

 中国などは、こうして集めた個人情報を国家に忠誠か、反体制かを把握する情報に使い、社会貢献度に応じて市民をランク付けしているはずだ。

 ソーシャルメディアの投稿については、ヘートスピーチやフェイクニュースの問題がある。それに対抗するには、投稿を監視して、悪質なものは削除しなければならない。しかし監視するということは、投稿の内容が読まれているということだ。

 その現実も知っておきたい。

 デジタル化によって、たくさんのことが便利になったのはいうまでもない。でも同時に、ぼくたち市民が24時間隙間なく監視されていることも忘れてはならない。

 問題は、デジタル化で集まる情報がどう利用されるかだ。個人情報に対する規制は厳しくなっている。しかしデジタル化による監視は、規制するよりも俄然早いテンポで進んでいる。

(2019年12月05日、まさお)

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