ものつくりの転機

 ぼくたちは今、ものつくりの転機に差し掛かっている。

 デジタル化で、ものつくりが自動化されているからだ。3Dプリンターが普及するにつれ、ものつくりの中心が3Dプリンターに移行していくだろう。

 となると、人はものつくりにおいて何をするのか。

 ものつくりのために、プログラミングするのが主な仕事になる。ものをつくるのに、人の労働は生産ラインでは必要なくなるのだ。生産ラインで実際に働くのは、機械となる。

 組み立て作業も同じだ。組み立てラインでは、機械が自動で組み立てるようになる。倉庫でも、製品や部品は機械で自動で出し入れされる。そのまま自動で、組み立てラインに持ち込まれる。

 宅配も含め、製品や部品の輸送が自動化されるのもそう遠いことではない。

 ものつくりにおいて、人の労働力はまず、プログラミングに必要となる。ここで「まず」と入れたのは、プログラミングも将来、AI(人工知能)によって行われることになると思うからだ。

 いずれにせよ、社会にとってものつくりは必要だ。でも、それに関わる人の労働が変わらざるを得ない。プログラミングの需要が莫大に増える。ものつくりにおいては、プログラミングのために人の労働力が必要となる。

 だから、雇用の喪失はそれほど心配ないという見方もある。

 でも、そのためには人材を育成しなければならない。すでに生産ラインで働く労働者もプログラミングできるように再教育しなければならない。

 でも、それに適応できる人と、適応できない人が出てくるのは間違いない。定年退職間近な労働者は、再教育する意欲があるだろうか。

 人の能力は多種多様だ。それに対して、プログラミングに求められる仕事と能力は、モノ化されている。でも、プログラミングに適する人もいれば、適さない人もいる。

 プログラミングの需要が増えると、人の能力に合わせて人材をうまく配置できなくなる心配もある。

 その結果、「勝ち組」と「負け組」が出る。その時、負け組になった人をどう支援していくのか。単一化された労働において、その人たちが働いていける場はあるだろうか。

 こうのようにものつくりが過渡期に差し掛かっていることが、ぼくたちを不安にさせる。自分は、ものつくりが変わっていっても働いていけるのだろうか。時代の流れに対応できなくなったら、どうして生きていけばいいのだろうか。

 この状況が、ぼくたちをより不安にさせる。これまでの自分の能力でも働いていける過去の社会に戻りたいという気持ちが強くなる。

 それが、ぼくたちを保守化させている。この傾向は、ますます強くなっていくと思う。

(2020年2月27日、まさお)

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