獣医のところにいく

 早く食べてくれと祈りながらも、獣医にいく覚悟はしていた。

 まず、ハナコとタロウをもらってきてアンネッテとトーマスに相談した。

 トーマスは、抗生物質は細菌による感染症に効くけど、ウイルスが原因のかぜなどには効果がないので注意が必要だという。それは、ぼくもわかっていた。

 トーマスたちは、食べないのなら、仕方ないのではないかという意見だった。彼らの家でも、アレルギー性の目やになどに対してステロイドの入った軟膏さえ使ったことがあるといっていた。

 これまで、母乳からの移行抗体がハナコとタロウを病気から守っていたはずだ。離乳して、今は自分で抗体をつくっていく過程にあるはずだ。そのプロセスを抗生物質で阻害して、健常な抗体ができないようになっては困る。ぼくはそれを心配していた。

 翌朝起きても、ハナコとタロウに食べた跡はなかった。子ネコだけに、からだに十分な栄養のリザーブがない。

 もう獣医に連れていくしかない、と思った。

 早速、わが家に連れてきたのと同じカゴに2匹を入れた。三枝子と一緒に、わが家から歩いていける獣医さんのところにいった。はじめての獣医だが、わが家から近いのが魅力だった。

 初診なので、三枝子はいろいろと書式に記入させられた。獣医さんは、悪い感じはしなかった。でも最初は、高いお金を支払ってネコを買ったのにお気の毒にという感じで対応された。

 そう感じたので、ぼくは「友人がたくさんネコを飼っていて、しょっちゅう生まれるので、もらってきたのですけどね」といった。すると獣医は「ワクチンは接種してありますか」と聞いた。

 ぼくはワクチンは接種させるつもりはないし、必要もないとも思っている。しかし、「してない」とだけ答えた。

 獣医はやはりという感じで、すぐに「抗生物質を注射しましょう」という。ぼくは、この獣医は細菌が原因か、ウイルスが原因かも判断せずに、抗生物質を使うのかと思った。

 獣医に、「でも、抗生物質は細菌にしか効きませんよね」と応じた。すると獣医は、「それでいいのですよ」という。「子ネコたちに抗体ができるプロセスに障害がなければいいのですが。。。」とぼくがいうと、獣医は「心配しないで大丈夫です」と答えた。

 ぼくは、「でもウイルスが原因ではないと、いえるのですか」と押してみた。すると獣医は慌てたように、「ビタミンの入ったサプリメントを出して、体力をつけさせます」といった。

 抗生物質を注射しても、1日しか効き目がない。だから、毎日注射に通わなければならない。でも、何回抗生物質を注射するつもりなのか。獣医は「3日続けてきてほしい」といった。その後様子を見て、飲み薬に換えるという。

 ぼくと三枝子は、ハナコとタロウにはかわいそうだが、仕方がない、そうするかと思った。

2019年9月09日、まさお

この記事をシェア、ブックマークする

 Leave a Comment

All input areas are required. Your e-mail address will not be made public.

Please check the contents before sending.