富山弁と立山連峰

 ぼくには、山のない生活は考えられなかった。

 高校を卒業して、ぼくは上京した。東京からよく日帰りで、近くの山に登ったことがある。夜行列車に乗って出かけ、深夜下車した駅構内で仮眠して、朝一番のバスに乗って山に入ったこともある。

 ぼくの生まれ育った富山県は、北に面する富山湾以外は山に囲まれている。特に、3000メートルを超える山もある立山連峰だ。

 以下は、富山市内から撮った立山連峰だ。市内ではビルがあったりするので、写真を撮るスポットをみつけるのがたいへん難しい。

 山が忘れられないのは、ぼくが小さい時、立山連峰の山々を見て育ってきたからだと思う。

 ドイツにきてぼくは、山のないところばかりで生活してきた。ドイツでは、南部のバイエルン州にいけば、いつでも山にいける。だが、ぼくが暮らしてきたドイツ北部や中部に、山はない。

 ノルウェーに行った時だ。これだと思った。フィヨルドには、山がある。氷河もある。あの大自然はすごい。ぼくはやっと、山に辿り着いたと思った。

 その後、友人たちと一緒に、南チロルのドロミテにいくようになった。山が恋しかったからだ。10キログラム以上もある重いリュックサックをかついで、山小屋を渡り歩いた。山に入っても、生ビールがあるのがすばらしい。それは、日本では体験できなかった。

 ドロミテの自然はすばらしい。しかしドロミテには、滝がない。それが、日本の山、ノルウェーの山と違うところだ。ぼくには、さびしかった。

 以下は、高岡市郊外から撮った立山連峰だ。ただ天気がよくても、こうしてガスがかかったように見えることも多い。この時に、以下の動画も一緒に撮影した。

 ぼくの人生の半分以上を、ドイツで暮らしてきた。ぼくは自然と、日本語の標準語をしゃべるようになっている。しかしぼくにとり、標準語はある意味で外国語でもある。上京して、標準語を話すように学んできた。

 ぼくにはもう、生まれ育った地で習得した富山弁はほとんど話せない。でも本当は、富山弁こそぼくの母国語であったはずだ。

 今回ぼくは敢えて、その富山弁で話してみたくなった。ぼくはこうして育ってきたのだ。

 でもこの富山弁、本当にそうかどうかはもう、自信がない。

2022年11月20日、まさお
動画は2022年11月18日YouTube投稿

関連記事:
雨晴海岸を走る

関連サイト:
立山連峰が一望できるスポット(とやま観光ナビ)

この記事をシェア、ブックマークする

 Leave a Comment

All input areas are required. Your e-mail address will not be made public.

Please check the contents before sending.