遺言書も用意しておく

自分らしく死ぬために

 遺言書のことも書いておかなければならない。

 ぼくは残していく遺産の額に関わらず、遺言書を残しておきべきだと思っている。

 それは、自分の残したものをどうするのか、はっきりと意思表示することになるからだ。相続問題で後で、こじれないようにするためでもある。額の問題ではない。

 遺言書は、大きく以下の3つの方法で作成する。

1)公証人のところで、ドイツ語で作成してもらう。公証する時には、証人が必要になる。公証人はさらに、公正証書となった遺言書を遺言書登録簿に登録して保管してもらう手続きをする。
 死亡時には、その登録された遺言書が開封される。その手続きは、公証人が裁判所に開封を申請して行う。

2)自分で手書きして署名し、自分で保管しておく。すべて自筆でなければならない。テキストがタイプ打ちされ、署名だけが自筆のものは、遺言書としては認められない。
 この場合、遺言書は日本語のものでもいい。その場合は、公認翻訳士にドイツ語に認証翻訳してもらい、遺言書と認証翻訳を添えて裁判所に開封を申請する。開封申請は、公証人が行うよう求められる場合もある。

3)自分で手書きして署名した遺言書を、遺言書登録簿に登録して保管してもらう。この場合、日本語のものが認められるかどうかは確認していないので、調べておく必要がある。

ベルリン郊外で撮った風景

 上記2)と3)の場合、遺言書の内容が開封後、裁判所によって内容不明瞭として遺言書と認められないことも考えられる。その場合は、法定相続を強いられる。

 それを避けるため、遺言書に書くドイツ語のテキストを公証人と事前に話し合って作成してもらい、それを自分で手書きにしておく手もある。特に相続人が複数になるなど遺言書の内容が複雑になる場合は、そうしたほうがいいと思う。

 自筆遺言書は「ベルリン式遺言書」ともいわれ、ベルリンでは認められている。ただ他の地ではそれが認められないところがある可能性もあるので、自分の居住地で確認してもらいたい。

 遺言書が何通もある場合は、日付の一番新しいものだけが遺言書として認められる。

 遺言書を手書きする場合、黒のボールペンや万年筆は避け、青いものを使ってほしい。黒だとそれがオリジナルかコピーか、素人には判別がつかないことがあるからだ。

 ただ黒で書かれていても裏返せば、オリジナルかコピーかはすぐにわかる。オリジナルでは裏返してもインクが染みて見えるが、コピーの場合は裏返しても、白紙に見えるはずだ。この違いは知らないとわからないので、知っておくといいと思う。

 署名も青でしたほうがいい。

 遺言書に相続問題以外に、死後の自分の希望をいろいろ書いておきたいという方もあると思う。しかしぼくは、遺言書は相続に関わる内容だけにするべきだと思っている。

 それ以外の内容が遺言書に入っていて、裁判所に相続の内容があいまいだとして遺言書として認められないようになるほうが問題だからだ。

 相続問題以外の内容についてはすでに書いたが、別途自分で手書きでまとめておいて保管するか、代理人に渡しておくのがいいと思う。

2024年1月18日、まさお

関連記事:
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代理委任状が必要

関連サイト:
日本では遺言書の書き方ガイドがある(相続会議、朝日新聞社運営のポータルサイト)

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