水素に頼っていいのかな?

まさお:電気を蓄える話をしてきたね。たとえば、揚水発電では電気を使って水を高いところに貯めておくのだった。それから、電気を水素として蓄えておくこともできる。
 ただ水素をつくるには、どうするのだったかな?

ハナコ:電気を使って、電気分解するのでしょう!

ま:確かにそうだけど。。。

タロウ:まさおが聞いているのは、そういうことではないのじゃないかな。

ま:タロウ、いいところに気づいたね。

ハ:ということは、どうことなのかしら?

ま:電気を使うとして、何か大切なこといわなかったかな。

タ:ああ、そうだ。再エネで発電された電気を使うということだよね。

ハ:タロウ、それは当たり前ではないの。

ま:ということは?

ハ:わたし、覚えているわ。再エネで発電した電気が余っていれば、その電気を使って水素をつくるのよ。

ま:ハナコ、よく覚えていたぞ。
 それではなぜ、余った電気で水素をつくるのだろうね。

タ:ええ、どうして余った電気でないといけないの?

ま:水素はどうつくるのだったかな。

タ:電気分解だよね。それは、わかってるよ。

ま:ということは?

ハ:電気をたくさん使うということ?

タ:そうだよ、ハナコ。電気分解のためにたくさん電気を使うのだ。

ま:それではなぜ、電気分解には余った電気しか使ってはいけないのかな。

ハ:ハナコにいわせて。
 それはね、再エネで発電した電気を水素をつくることばっかりに使ってはいけないからよ。

タ:ハナコ、それはそうなんだけど、それではちゃんとした説明にはならないのではないかな。

ハ:どうして?

タ:それなら、再エネでたくさん発電すればいいということにならないか。

ハ:それはそうなんだけど、必要なだけ再エネで発電するには限界があるでしょう。だから、水素に使う電気をできるだけ少なくしたほうがいいということよ。

ま:ハナコ、そうなんだ。
 再エネで発電するにも限界があるので、電気を使う量を少なくしないといけないのだね。それなのに、再エネで発電した電気を電気分解のためばっかりには使っていては、他の目的で使う電気が不足するだろう。
 ただ、もう一つ問題がある。
 以前、エネルギーの変換とエネルギー保存の法則について勉強したことがあるね。その時、電球について話したことがある。
 電球は明るくなるけど、同時に電球は熱くなる。
 それは、どういうことだったかな?

タ:電気エネルギーが、光エネルギーと熱エネルギーに変換されたのではなかった?!

ま:そうだ。その原則を、電気を使って水素をつくる時にも当てはめられないかな。

ハ:ハナコ、わかった、わかったわ。まさおが何をいいたいか。

ま:それは?

ハ:電気分解によって水を酸素と水素に分解するのだけど、電気エネルギーはそのまますべて水素にエネルギーとして蓄えられるのではなく、他のエネルギーにも換わるので、電気エネルギーを効率をよく使うことにはならないのではないかな。

タ:ハナコ、すごい。ぼくもそうだと思う。

ドイツ南西部のカールスルーへで試験的に走る水素バス

ま:できた水素は、どう使うのだろうか。
 たとえば車の燃料として使っても、水素に蓄えられたエネルギーをすべて車を動かすために使えるかな。

タ:できないよーだ。

ま:ということは?

タ:それも効率が悪いのか。

ま:そうすると、再エネで発電された電気を水素をつくるのに使うのは、二重に効率が悪いことにならないか。

タ:確かにそうだ。そうだよ。

ま:それを避けるには、どうすればいいのだろうか。誰かまとめられないかな。

ハ:はいはい、ハナコがまとめます。
 電気はできるだけ、最終的に使うエネルギーとして使うほうがいいということよ。そのほうが効率がいいのよ。

タ:なるほど。電気で中間的に何かつくるのではなく、電気をそのまま使ってしまいなさいということか。

ま:そういうことだな。
 今日は、ここまでにしよう。

2024年9月13日、まさお

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関連サイト:
電気分解の原理とは?わかりやすく解説!(科学をわかりやすく解説)

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