エネルギー供給を社会化する

 ぼくは、前回投稿したブログ記事「配電網とガス配管網を公営化する」で、配電網とガス配管網はエネルギー供給のライフラインとして、非営利化することが将来社会にとって大切なことを主張しました。

 配電網とガス配管網を公営化するのは、そのためです。

 こういう風に書くと、それは社会主義、共産主義だと批判されそうです。

 でも、それは違います。

 たとえば、ドイツの憲法に相当する基本法第15条は、土地と天然資源、生産手段を社会化のために、公有ないしその他の公共経済の形態に移行させることができると謳っています。

 生産手段とは、労働して生産物を生み出すために使われる要素のこと。資本主義経済では、生産手段を私的に所有し、生産手段を有する資本家(企業)が労働力を使って(購入して)生産します。

 こう見ると、ドイツの基本法は資本主義経済に反しているように見えます。でもこれが、ヨーロッパで主流となっている社会的市場経済の、それもドイツ流の社会的市場経済の基本だと思います。

 基本法第14条第2項には、所有権を行使するのは、公共の繁栄に資するべきだとあります。だから、公共の繁栄のためになるのであれば、私的に所有するものを社会化してもいいということです。

 ここで公共の繁栄に資するとは、生産の利益を公共のために役立てることです。それがまた、社会化ということでもあります。

 社会化する方法として、生産手段を使う私的企業を補償して、自治体企業などの公的企業や協同組合などの形態にします。

 だから、ドイツではエネルギー供給において、シュタットヴェルケのような自治体によるエネルギー公社が可能になっているのだともいえます。

 ここで社会化するとは、現代社会、いや将来社会においてどう解釈するべきなのでしょうか。

 ぼくは、それは生産活動において住民管理、住民自治を強化することだと考えています。だからエネルギー供給において、住民の意思、利益を共同で反映させていくために、エネルギー供給の公営化や協同組合化を進めて、住民の権利、主張、利益を守ります。

 それが、エネルギー供給において公共の繁栄に資することであり、エネルギー自治を実現していくための重要な手法になると思います。

(2019年5月19日、まさお)

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