これから何に投資するのか(3)

農業を脱グローバル化

 新型コロナのパンデミックによって、社会と経済の構造上の弱点がいろいろと見えてきたように思います。その中でこれまであまり指摘されていないのが、農業の問題ではないかと思います。

 新型コロナであろうが、何であろうが、いかなる状況においても、食料品はなくてはならないものです。これは、いうまでもありません。食料品の素材になるのが、農産物です。農産物は農業によって生産されますが、農業には今、2つ弱点があると思います。

 一つは、グローバル化で農産物が世界中から納入されていることです。でもパンデミックで国境が封鎖されると、国外から農産物を輸入することができなくなります。農産物を輸出する国においてさえ、パンデミックで農産物を収穫できなくなります。農産物の国外依存度が高まっているだけに、それでは国内で食料品不足を招く危険があります。

 農業のグローバル化で、エネルギー消費が莫大に増えているのも忘れてはなりません。農業によって、二酸化炭素などの温室効果ガスがたくさん排出されています。これについては、何回も指摘してきました。

 もう一つは、農業で働く労働者の問題です。農産物は、ぼくたちが生きていく上で必要不可欠のものです。農産物が高いと、食料品を買うことのできない人が出ます。それを避けるため、農産物は安価でなければなりません。

 そのために、農業で働く労働者の賃金が抑えられます。農業を大量生産するために工業化して、生産費を削減します。

 その結果、国外からできるだけ安い季節労働者を使おうとします。でもパンデミックが起こると、季節労働者は入国することができません。農業の工業化で、農地をつくるために森林が故意に放火されています。それが、自然破壊の原因にもなっています。

 パンデミックでは、この2つの弱点によって農産物が高くなります。食料品全体が高騰します。経済活動の制限で失業者が増大することも予想されるので、この状態が続くと、食料品の買えない人が多数出るのは間違いありません。すでに米国の一部では、深刻な状態になっています。

 これらの問題に対応する一つの方法は、農業をできるだけ脱グローバル化することだと思います。労働力もできるだけ国内で調達します。そのほうが、何があっても確実に農業を行って農産物を生産できます。

 農業を緊急時により強くするため、新型コロナの流行が農業を改革する絶好の機会だと捉えるべきです。

 それでは、具体的に農業をどう改革すべきなのか。それについては、次回検討することにします。

2020年5月17日、まさお

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