温暖化懐疑論と米国大統領選について思う

 世界中が、米国大統領選挙に注目していました。民主党のバイデン大統領候補に当確が出ましたが、それまではハラハラドキドキの接戦が続いていました。

 開票が進む中、米国は気候変動を抑制するためのパリ協定から正式に離脱します。

 温暖化問題に対し、トランプ大統領は温暖化は人間が引き起こしたものではないと主張してきました。その本音は、米国の石油産業、石炭産業、特にシェールガスを支援するためです。

 ぼくは、日本で反原発を主張している人たちの中に「温暖化懐疑論」が広がっていることについても書いたことがあります。その中にもトランプシンパがいるのだろうなと想像できます。

 ぼくは、コロナ対策に反対してドイツでコロナデモを行っている人たちのことも書きました。コロナデモは、マスクを強要したり、人との接触を制限するのは、人権を侵害する、民主的ではないと主張しています。そのコロナデモに参加する人たちの多くが、コロナを否定するトランプ大統領を支持しているのも書きました。

 温暖化を否定する人たちも、コロナを否定する人たちも、それが真実だと信じています。裏付けもあるといいます。ぼくには、どこにもその裏付けがないように思えるのですが、そう思わない人たちのことには耳を傾けません。

 人それぞれ何を信じ、誰を支持するかは、個人の自由です。トランプ大統領を支持するのも自由です。ただぼくには、どうしても納得できないことが一つあります。

 コロナを否定し、温暖化を否定し、自分の主張と同じだからと、独裁的なトランプ大統領を盲目に支持するのかということです。

温暖化と気候変動に対する対策を求めてデモする若者たち(ベルリンで)

 原発問題にしても、温暖化問題にしても、そこには、世代間の公平性、民主主義の問題があります。コロナ対策の根底にも、公平性と民主主義の問題があります。

 大統領選での対応を見てもわかりますが、独裁的なトランプ大統領は民主的ですか。これまでもそうですが、トランプ大統領の頭には民主主義がないどころか、民主主義を破壊したいのだと思います。

 そういう人物を、コロナを否定し、温暖化も否定していて自分の主張と同じだからと、信頼して支持していいのでしょうか。それについて、ぼくは疑問を投げかけたいのです。

 誰を支持するかは自由といっておきながら、なぜそういうのだと思うかもしれません。でもぼくには、トランプ大統領を支持する人たちには矛盾があると思います。

 民主主義を守る、社会に公平性を求めるのは、基本的な価値観です。でも独裁的なトランプ大統領に、その価値観はありません。ぼくはその基本的な価値観を無視してまで、自分と同じ主張を持っているからという理由だけでトランプ大統領を支持しません。

 それでは、ぼく自身の価値観を無視、破壊することになります。ぼくは自分の信念を押し殺してまで、ぼくの主張を押し通しません。そうすると、ぼくの考え自体に土台がなくなるからです。

 ぼくは、自分の基本的な価値観があってはじめて自分の主張があると思います。

 コロナ対策は人権を侵害していると批判しながら、人権などどうでもいいトランプ大統領を支持するのですか。若者たちはFridays for Futureによって温暖化と気候変動に対して何とかしろとしてデモするのは、世代間の公平性と民主主義を求めているからです。その若者の主張を無視してまで、温暖化を否定するのですか。

 となると、そこには公平性も民主主義もありません。

 コロナと温暖化の問題からトランプ大統領を支持する人は、民主主義という基本的な価値観を無視しています。それでも、自分は民主主義を支持しているとするなら、それは矛盾していませんか。

2020年11月08日、まさお

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