木造の家で二酸化炭素と共生する

 ぼくは前回、「脱炭素社会、こういう家をつくりたい」の記事で、木造の家を優先させると書きました。天然の木による木造りの家です。

ベルリンでも、外壁に木を使った集合住宅がでてきた。2021年6月撮影

 そういうと、木造によって木の需要が増え、森林が破壊されると批判されると思います。それは、それで最もな批判です。森林は、地球にとって二酸化炭素を貯留してくれるとても重要な自然の宝庫です。森林が破砕されて、少くなってはなりません。

 でも、建物を建てる時に必要なセメントや鋼鉄を生産することによって、たくさんの二酸化炭素が排出されます。それを木に替えれば、二酸化炭素の排出を削減することができます。

 木が光合成によって二酸化炭素を最も木の中に貯留して酸素を排出するのは、木が成長期にある時です。その意味で、森林を単に長く保持するのではなく、森林を循環させ、二酸化炭素の貯留庫として持続的に維持することが必要です。

 「循環」とは、成長して成熟した森林を伐採して、そこに新しい森林を育成していくということです。決して、森林を無闇に伐採して破壊するのではありません。森林を管理して、森林をいつまでも保持します。

 その管理と監視を十分に行い、林業で働く労働者も搾取されないという条件の下でだけ、持続可能な林業を営みことができます。それが本来、林業のあるべき姿です。持続可能な林業によって得られた木材を燃料として使わず、建物を建てる時の建材として積極的に使用します。そうして、セメントや鋼鉄を不要にします。

 その結果、木に貯留された二酸化炭素は建物の建材の中に留まり、大気中に排出されません。高層建築物も木造りで可能なことが、すでに立証されています。

 そうなると、木造の建物は二酸化炭素の貯蔵庫となります。ぼくたち人間は、木を通して二酸化炭素と共生できるようになります。

 このほうが、排出される二酸化炭素を地下などに貯留するCCS技術よりも技術的にも簡単だし、格段に安いコストで実現できます。

 建築の将来は、木造りにあるということです。

2021年6月06日、まさお

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関連サイト:
地球のバウハウス(Bauhaus der Erde)(英語)

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