脱炭素化に向けた人材育成を急ぐ
二酸化炭素の排出を実質ゼロにして脱炭素化を目指すには、今のところ、発電では再生可能エネルギーへの切り替えと、交通では電気自動車への転換を避けて通ることができません。
この点についてはまだ、いろいろ議論があるのは確かです。原子力発電やアンモニアによる火力発電を続けるべきだ、あるいは水素の需要を増やすために、大型発電施設を維持して水素自動車の導入を進めるべきだという意見があります。ただぼくはこのサイトで、そのいずれにも反論してきました。だからここでは、それを繰り返しません。
誰が何といおうと、脱炭素化には再エネと電気自動車が必要になるのは間違いありません。
電気自動車で問題になるのは、充電時間の長さと走行距離の短さといわれます。でも電気自動車を普及させる上で一番の課題は、電気自動車の充電をどうするかではないでしょうか。ガソリンスタンドのように、充電ステーションが必要なのでしょうか。
しかし自動車は、自宅で駐車している時間が一番長いはずです。ということは、電気自動車は自宅で充電する時間が一番長くなります。その現実を見ないで、どうして充電ステーションのことばかりが注目されるのでしょうか。それは、充電ステーションのほうがビジネスに直結するからではないかと思います。
しかし普通に考えれば、電気自動車は夜間などに、自宅で充電するのが一番だと思います。昼間に電気自動車で外出すれば、外出先でちょっと充電できればいいはずです。充電はどこでするのが一番便利で、効率がいいのか。今一度、しっかり議論しなければなりません。
自宅で充電する機会が多くなると、自宅の充電器が故障することが考えられます。その場合、すぐに修理してもらう必要があります。そのためのサービスのできる専門事業者と人材が、ユーザーの近くにいなければなりません。
電気自動車も故障します。電気自動車はたとえば、巷の自動車修理事業者などにおいて修理してもらえるようになるはずです。となると、自動車修理事業者に電気自動車のわかる新しい人材が必要になります。そのためには、既存の人材を再教育することも考えなければなりません。その辺についてもこれまで、あまり議論されていません。
同じことが、自宅の屋根に設置するソーラーパネルについてもいえます。各家屋にソーラーパネルを設置するには、それに付属する機器が必要です。たとえば、直流を交流を変換するパワーコンディショナーなどです。
自宅に設置されたソーラーパネルが増えると、それに付随する機器も含めてそれらが故障した時に、すぐに修理してくれる人材が必要です。自宅で発電した電気を自宅で使っている場合は、特に緊急を要します。緊急サービス体制について考えるほか、それを修理する人材を確保することも考えなければなりません。
こうして見ると、脱炭素社会だといっても、それが機能するためには、脱炭素に関わる機器をできるだけ早く修理できる職人さんが巷のあちこちに待機していなければなりません。巷のユーザーに最も近いところで、ユーザーに修理などのサービスを提供できる専門事業者と人材が不可欠です。
そこまで考えないと、脱炭素化に必要なソーラーパネルや電気自動車は普及しません。脱炭素化も実現できません。
サービスの提供は、経済界の課題です。それに対して、サービスの質を維持、確保するため、人材を育成するための教育について考えるのは政治の役割です。その点で、政治が遅れてはなりません。
2021年9月12日、まさお
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関連サイト:
環境シンクタンク、アゴラ交通改革のサイト(ドイツ語)
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