ドイツの将来が心配
ドイツを含めヨーロッパでは今、ウクライナ侵攻戦争とパレスチナ・ハマスによるイスラエル襲撃とイスラエルによるガザ地区への侵攻で、社会が揺れに揺れています。
特にドイツでは、ウクライナ侵攻戦争でエネルギーのロシア依存が大きな問題となり、エネルギー危機に直面しました。ガザとイスラエルの問題では、ドイツの戦争の過去が露骨に頭を出し、ドイツが戦争処理をしっかりしてこなかったツケが、社会に大きな影を落としています。
それだけではありません。社会の右傾化どころか極右化で、ドイツ社会の揺れはかなり激しくなってきています。それに加え、インフレによる物価高騰で消費が低迷し、インフレが長引き、生活も苦しくなっています。
産業においても、インフレ対策で金利が上がり、投資控えが顕著になっています。輸出に依存するドイツ経済は、景気低迷から景気後退状態に入ってしまいました。今のところ、景気が回復する兆しは見えません。
こうした状況から、社会全体が目の前のことしか見なくなっています。
経済界では、気候変動に向けた脱炭素化どころではありません。将来に向けた持続可能な経済を目指した投資は、今のところ不可能です。インフレで金利が高く、将来のための投資ができません。特に中小企業中心の従来の産業をいかに守っていくか。社会の目は、そこに向いています。
このままいくと、ドイツの産業は世界から取り残されていくのだろうなあと予測できます。しかし長期的に見て持続可能な経済政策を取ろうとすると、反発がきます。
それは、市民社会においても同じです。脱炭素化を目指すには、市民の生活においても脱炭素化を実現しなければなりません。しかし現在、ドイツの市民社会はそれに猛烈に反発します。
産業界や市民社会から目の敵にされているのが、環境政党である政府与党の緑の党です。環境規制に対する反発だけではなく、社会の不満が現政権、特に緑の党に向かってしまった感じがします。環境規制に反発する農民の一部は暴力によって政治家を襲い、緑の党に反発する動きさえ出てきました。
市民社会と経済界と対話せずに、一方的に環境政策に走った緑の党にも責任があります。しかし国際情勢ばかりでなく、ドイツの社会情勢が二重に重なって、ドイツ社会をより不安に陥れています。悪循環もいいところです。
ドイツ人が不安に弱いのはわかっていましたが、ここまで弱いとは。少し落ち着いて状況を判断すればいいのですが、不安からそれができません。不安が不安を呼び、不安が増幅されるばかりです。ドイツ人の弱いところがモロに出てしまったと思います。
政治もメディアも現在、ポピュリズムに支配され、正確な情報が社会に伝わりません。市民の多くは、単純論理の不正確な情報に踊らされています。
このままでは、今の状況はドイツの将来にかかわると思うのですが、現状では今の悲観的な機運を変えるのはかなり難しいと思います。
ドイツがものづくりの国であるからこそ、環境を考えてものづくりをすることで国際競争で生き延びていかなければなりません。しかし今のドイツには、そうするだけの力がありません。
現政権が倒れて保守中道政権に政権交代しても、政治はこれまで以上に目の前しか見なくなります。ドイツの将来はどうなるのか。心配になります。
2024年2月18日、まさお
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関連サイト:
ドイツ国政最大野党キリスト教民主同盟の公式サイト(ドイツ語)。前メルケル首相の政党だが、メルケル政権時代の中道政治よりも、保守化、右傾化している
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