フライデーズ・フォー・フューチャーらの「再生エネ守る」デモから見えること
2026年4月18日、ドイツのベルリンやミュンヒェン、ハンブルク、ケルンなどの大都市において、フライデーズ・フォー・フューチャーとその他環境団体が共同で主催して、「再生可能エネルギーを守る」というスローガンの下で集会とデモが行われました。主催者側はドイツ全体で8万人が参加したとしていますが、警察当局はその半分程度だったとしています。

1年半前に、フライデーズ・フォー・フューチャーの将来が心配だという記事を書きました(「フライデーズ・フォー・フューチャー運動はどうなるのか?」)。あれからドイツでは、中道左派政権から中道右派政権に政権交代します。ドイツでは今、保守的な政策が目立ち、社会がこれまで環境を守るために変わってきたのを元に戻すような政策が次から次に打ち出されています。時間がまるで逆に回っているようです。
気候変動政策における目標値などが緩和され、再生エネルギーへのエネルギー転換を破壊するかのように再エネ拡大にストップがかかろうとしています。
しかし心配していたように、それに反発する若者たちの活動が目に見えてきません。フライデーズ・フォー・フューチャーの活動はいったいどうなったのだろうかといつも気にかかっていました。
フライデーズ・フォー・フューチャー運動の中心は、政府に徹底した気候変動対策を求めるものでした。政府にこうしてほしいと具体的な政策を求めるものではありません。しかしそれだけでは、要求にも限界があります。フライデーズ・フォー・フューチャーはここ数年前から、環境団体や労働組合など既成の団体とネットワーク化することを模索していると聞いていました。これまで環境団体などが賛同・支援団体として入ってはいましたが、これら他の団体と共同で全国でデモ集会を行うのは、今回がはじめてではないかと思います。
警察当局によると、ベルリンのデモ集会には1万人弱が集まったといわれます。確かに若者の参加者数は減りましたが、参加者が多様化したのを感じます。それは、いろいろな分野の団体とネットワーク化してきた成果だと思います。
環境団体ばかりでなく、再エネに関わる企業や協同組合、再エネによって需要の高まる手工業業者の団体なども参加していました。一般市民の参加も多く、『普通の人たち』がたくさん集まりました。底辺が広くなって多様化し、社会全体で下から再エネへのエネルギー変換を実現させるのだという強いメッセージが感じられました。






2026年4月18日にベルリンのドイツ経済省横で行われたフライデーズ・フォー・フューチャー集会とその後のデモから
市民が再エネの中心になるのは、再エネを推める真の意義でもあります。
環境団体グリーンピースの共同代表ケーニヒさんが登壇して、ドイツ政府の政策は
・理にかなっているか
・先を見ているか
・(将来に対して)責任があるか
と質問すると、参加者たちはその度にすぐに「ナイン(ノーの意)」と大きな声で答えます。
スピーチの中にライヒェ経済・エネルギー担当大臣の名前が出てくるごとに、参加者はみんなニコニコ笑って顔を見合わせながら大きなブーイングを発します。とても和やかな雰囲気でした。
参加者の反応や自作のプラカードを見ると、エネルギー転換が市民のためのものであること、石油や天然ガスの化石燃料に依存するのは米国トランプ大統領や露プーチン大統領など専制的支配者の思う壺となって、市民の自由が失われることがよく認識されていることがわかります。
今の世代の自分だけでなく、若い世代、次の世代の自由を守るためには、再エネ社会にならなければならないと思っているのです。
集会でのスピーチで印象的だったのは、環境と経済活動の両立をめざす経済界を代表して持続可能な経済協会のロイター事務局長が登壇してスピーチしたことでした。
企業にとり、気候政策の目標を緩和するのは、政策がぶれて不安定になることから、企業の投資意欲に不安をもたらして投資を躊躇するだけだとします。気候変動対策どころか、経済政策にとってもマイナスだというのでした。エネルギー転換は市民だけでなく、経済活動を行う経済のためのものであること、それはドイツ国内での雇用の維持・拡大とイノベーションの強化につながり、それこそがドイツの将来を保証するものだと発言しました。数千社の企業が政府の政策に抗議しているとして、現政権のエネルギー政策に経済界が大きな不満をもっていることもわかりました。
ぼくはこれまで保守的な政権が誕生した後、政府が出してくる政策を見て、ドイツは何という国に変わってしまったのか、これではドイツに将来はない、過去に逆戻りしていくだけだと暗い気持ちを持ち続けてきました。
しかし経済界で動いていることを実際に見ると、経済の一部や研究開発機関では経済の将来、ドイツの将来に向けて政府の政策とは関係なく、勝手にどんどんエネルギー転換を実現している企業がたくさんあることも感じていました。それが、市場論理で経済が革新していくということでもあります。
そうは思いながらも、今の政権では社会は過去に逆戻りして気候変動が進むだけ、次の世代の将来まで破壊してしまうのではないかと不安が募るばかりでした。ドイツ社会はなぜ、それに反発して動かないのだとイライラしていました。
今回「再生可能エネルギーを守る」デモを観察して、ドイツの社会にも今求められているのは何かわかっている市民がたくさんいること、現政権の政策に反発する市民が多様化し、経済界の一部などエネルギー転換を進めるステークホルダーとも連携しているのを知り、力をもらった感じがします。
地政学的に見ても、再エネへのエネルギー転換を図るのは安全保障政策だというのは、このサイトで何回も主張してきました。現在の危険な世界の情勢を見ると、再エネの重要性は益々増しているといわなければなりません。
社会を再エネ化することによって、気候変動の影響から自由を得るどころか、地政学的安全による自由、権力からの自由、労働も含めた経済の自由、大企業にも依存しない自由が保証されるのです。
ぼくたち市民は今、再エネが自由の基盤であることをもっともっと認識して、再エネを保守的な政策から守って拡大していきたいと思います。
2026年4月20日、まさお
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