昔は再エネで生活していた

 これまで、熱を供給する方法として太陽熱と空気中の熱を利用する方法について述べました。ただぼくたちは昔から、自然の資源を使って料理をしたり、お風呂に入っていませんでしたか。

 そうです。昔は、薪でお風呂を沸かしていました。かまどで薪を燃焼させ、ごはんを炊いたり、料理もしていました。薪ストーブもありました。火鉢では炭をおこしていました。古い農家には、居間の真ん中に暖炉があり、薪が燃えていました。

粘土でできた薪用のソファ型ストーブ。ベルリン郊外のカフェで撮影

 薪も炭も今でいえば、バイオマス(生物資源)です。昔こそ、今よりも格段にバイオマスを使って生活が成り立っていたことがわかります。

 そして現在、暖炉は薪ストーブのように簡単に取り付けることができるようになりました。暖炉によっては、暖房機として使うだけではなく、お湯を沸かして暖房や給湯用に使うことができるようになっているものもあります。

 さらに木質ペレットを燃料として、ペレットストーブやペレットボイラーも熱供給用に使うことができます。木質ペレットは、木の丸太や樹皮、枝葉、その他製材時に排出される端材を粒状に細かく破砕し、それを小さく棒状に圧縮したバイオマスの固形燃料です。

 薪や木質ペレットをボイラーの燃料として燃焼させ、それで得られる熱(お湯)を地下の埋設配管を通して地域一体に供給することもできます(地域熱供給)。

ドイツ北西部のザーベックでは、輸入ペレットをこのボイラーで燃焼させて(上の写真)、その熱を道路下に埋設された配管を使って地域熱供給をしている(下の写真)

 ただここで、注意しなければならない重要なポイントがあります。それは、バイオマスを利用するために、バイオマスを途上国から輸入し、その結果、途上国において森林が破壊され、森林面積が減ってはならないということです。同じことが、国内でバイオマスを調達する場合にもいえます。

 バイオマスを熱供給に使う場合、森林を破壊したり、林業で働く人たちを搾取ないで、持続可能に行われている林業から得られたバイオマスだけを使うことに限定しなければなりません。そのためにすでに、FSCなど森林に由来する製品の持続可能性を認証する制度があります。バイオマスを燃料として使うには、こうした認証マークのついたものだけに限定するよう、厳しく規制する必要があります。

 あるいは地元において林業に依存せずに、木質廃材や森林管理のために伐採された丸太や枝、樹皮、地元の庭や公園などから排出される枝などを燃料として使うロジスティックを構築して、それを熱供給用の燃料としてボイラーで燃焼させることもできます。これは、自分の生活の周りにある生物資源を使って、熱供給することになります。

 ぼく自身は住民の協力を得て、後者のように身の回りにある生物資源を熱供給に使うことを優先すべきだと思っています。そのほうが、コスト安になります。

2021年11月28日、まさお

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関連サイト:
木質ペレットとは?(日本木質ペレット協会)
FSCジャパン

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