最悪のシナリオは?
ドイツのメディアでは今、ドイツ内務省が専門家に委託して作成された新型コロナ対策に応じたシナリオ分析結果が、報道されています。
専門家の分析結果は、3月22日に内務省と保健省、国防省、首相府に提出されました。
それによると、最悪のシナリオは政府が中半端な対策しか講じない場合です。中途半端な対策とは、大きなイベントの中止と週末などの外出自粛程度しか制限しない場合のことです。
日本は学校を急に休校にしましたが、それ以外は、日本政府の対策によく似ていると思います。
分析結果はこの場合、近いうちに住民の70%が感染し、集中治療が必要な感染者の80%以上が病院で収容できなくなり、医療崩壊が起こるとしています。その場合、死亡者は100万人を超えます。
もう一つのシナリオは、検査によって感染者をできるだけ広く把握し、感染者を隔離する場合です。その場合、1日当たりのPCR検査数を迅速に10万件に引き上げ、数週間後には倍の20万件にする必要があるとしています。
ドイツでは、3月16日から22日にかけて35万件の検査が行われました。PCR検査は現在、週に50万件行える状況になっています。さらに韓国などで行われたように、感染者のロケーション追跡によってビッグデータを収集し、検査をより効率的に行うべきだとしています。
その場合でも、厳重な防疫対策が2カ月必要で、感染者は100万人となり、死亡者は1万2000人になると予想しています。
確かにドイツでは、この分析結果が出た後、外出制限など対策が厳しくなりました。
日本の今日の報道で唖然としたのは、日本では新型コロナ感染者用に提供できる集中治療ベットが1000ベッドくらいしかないということです。
ドイツでは、975の大病院のデータが把握されています。ここでは、200の中小病院のデータが把握されていません。
それによると、現在ドイツでは、9000の集中治療ベッドですぐに新型コロナ感染者を収容できる状態になっています。さらに、手術室を集中治療室に換えるなどして新型コロナ向けに準備をしてきており、24時間以内に8500の集中治療ベッドを用意できる体制をつくってきました。
集中治療ベットでも、重症患者用のベッドが5644ベッドあり、24時間以内にさらにこのベッドを5238ベッド用意できる準備体制が整っています。
新型コロナでは、呼吸不全になって体外式模型人工肺(ECMO)が必要になる場合があります。このECMOも数100機あり、ドイツ全国に分散して配置されています。
ドイツでは、この体制でも新型コロナに十分に対応できるかどうかわかっていません。それに比べると、日本の状況があまりにもおそまつなのがわかります。
医師数と看護師数についても、WHOのデータを見ると、日本の10万人当たりの医師数と看護師数が、新型コロナで医療崩壊したイタリアやスペイン、フランスなどよりも少ないのがわかります。
日本では今、エイプリルフールかと思ってしまいそうなアベノマスクが話題になっています。でも今、そんなことで目先を変えている場合ではありません。政府が真剣に医療体制を維持する対策を考えないと、医療崩壊がもう目の前に迫っています。
(2020年4月03日、まさお)
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