さよなら減思力

ドイツ極右もあきれる日本の難民対応

 このサイトでは5カ月ほど前、ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の党大会で、同党でもより極右で、極右グループの中心人物ビョルン・ヘッケ氏が、日本の難民、移民政策をほめて「もっと日本的になるべきだ」と、日本の難民、移民政策が同党のお手本になると発言したという記事を書きました。

 ドイツは今、国政総選挙の連邦議会選挙のまっ最中。投票日の(2021年)9月26日まで後、1週間ほどです。

 選挙戦ということで、外国人記者会でも各政党の代表との懇談会が続いています。今回、AfDの党首ティーノ・クルパラ氏との懇談が企画されました。その機会にぼくは、クルパラ氏に日本の移民、難民政策について質問したくなりました。

Zoomで語るAfDのクルパラ党首

 クルパラ氏は、前述のヘッケ氏の極右グループに近い人物です。

 ぼくは同氏に、名古屋の入管施設においてスリランカの女性ウィシュマ・サンダマリさんが死亡した事件について、簡単に状況を説明しました。その後に、こうした日本の難民に対する対応をどう思うか、あなたたちは日本の難民政策がお手本だといったが、この事件はあなたたちの価値観に相応するものかと聞きました。

 するとクルパラ氏はすぐに、「ノー」とはっきりいいました。党大会で日本の移民、難民政策がほめられた話をしていた時は、ニコニコ微笑んでいたクルパラ氏です。しかしぼくが事件について説明するにつれ、同氏の顔つきは厳しく変わっていきました。

 クルパラ氏は、難民の人権を尊重するのは、当たり前だといいます。それは、EU憲章、国連憲章にもはっきり記述されている。人権は擁護しなければならないといいます。難民施設においても、医療体制を整え、難民に十分な医療を施すのは当然のことだといいました。

 それからすると、日本の事件には、人権を擁護しなければならないという認識が感じられないと批判します。

 それでは、日本はあなたたちのお手本ではないのかと、ぼくが聞くと、ちょっとはぐらかされてしまいましたが、日本でこんなことが起こっていたのは知らなかったという感じでした。

 クルパラ氏のAfDは、難民が移入して、ドイツで納められた税収の多くが、ドイツ人のためにではなく、難民や移民の生活保護として給付されていることに反対しているとします。それでは何のためにドイツ人が納税しているのだと、口調が強くなりました。

 それでも、難民の人権は擁護されなければならない。それは、ドイツの基本法第一条第一項にあるように、誰であろうが、人の尊厳は侵害されてはならないからです。

 こうした当たり前のことをはっきりといえずに、情報を公開しないで、事件をうやむやにしようとする日本政府は、ドイツの極右政党以下ということになります。

 ぼくはこの問題では、国会内に超党派の調査委員会を設置して、問題をしっかり解明すべきだと思います。それが、民主主義国家のとるべき方法です。もちろん日本に、民主主義があり、人権意識があればの話ですが。
 
(2021年9月17日、まさお)

関連記事:
日本はドイツ極右のお手本
国際運動会がはじまった
右翼ポピュリズム台頭の構図

関連サイト:
ドイツのための選択肢党本部サイト(ドイツ語)

この記事をシェア、ブックマークする

 Leave a Comment

All input areas are required. Your e-mail address will not be made public.

Please check the contents before sending.