日本はものづくり国ではなくなったのか

 昨年2022年秋に2ヶ月間、日本に滞在していました。その時、テレビ放送もよく見ました。その時、日本はどうなったのだろうかと思ったことがあります。

 それは、何だと思いますか。

 テレビ・テレビコマーシャルから感じた日本の現状です。どうしたのかと思ったのは、テレビ・テレビコマーシャルから、日本の産業技術品に関するコマーシャルがとても減ったことでした。日本の最新技術に関するコマーシャルは、ある自動車大手メーカの無人運転者のコマーシャルくらいしかありません。

 日本経済は、自動車産業に依存しているはずです。それなのに、電気自動車のコマーシャルはほとんどありません。IT技術に関しても、コマーシャルがありません。環境技術に至っては、持続可能性を強調する抽象的なものばかりです。具体的な製品のコマーシャルは、ぼくが見た限りではありませんでした。

 コマーシャルから見ると、これからの将来技術において日本産業が後手に回り、世界から取り残されてしまったのを反映させているかのようでした。だから、コマーシャルで宣伝できる製品が日本からはまだ出てこないのだと思います。

ベルリン市内にある地下鉄の駅構内に展示された古い地下鉄の車両。日本の技術も近い将来、こうやって展示されるだけになるのでしょうか

 それに対して、コマーシャルの中心は、食べ物や観光に関するものばかりです。それどころか、テレビの娯楽番組のほとんども、どのチャンネルを回しても食べ物や観光をテーマに番組がつくられています。

 これまでものづくりは、日本の国家戦略だったと思います。その日本はもう、ものづくりの国ではなくなったのでしょうか。ものづくりの全盛期が終わり、日本はものづくりの国として、もう衰退するだけになってしまったのでしょうか。

 確かに、将来技術において日本が産業立地国として国際競争力を失い、世界の潮流から取り残されてしまったのは事実です。それだからといって、国内の関心があまりにも食べ物や観光に集中していないでしょうか。

 外国人から見れば、日本の食べ物や観光地にはとても魅力があると思います。その点で、日本を観光立地国とするのは戦略として、間違いではありません。

 それだからといって、日本がものづくりの国であることを放棄してしまっていいわけではありません。それが事実とすると、あまりに情けなくないですか。日本でテレビ放送を見ていると、悲しくなりました。

 日本の将来はそれで、本当にいいのですか。

(2023年2月09日、まさお)

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関連サイト:
2021年版ものづくり白書(経済産業省)

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