自動車産業の転機
ガソリン車やディーゼル車など、内燃機関をベースとした自動車が現在、電気自動車や燃料電池車に代わろうとしている。
これは、社会が今、脱内燃機関に向かおうとしている兆候だと見るべきだ。
電気自動車の場合、ガソリン車やディーゼル車に比べると、自動車に必要な部品の数が半分以下になると見られる。電気自動車では、たとえばギアチェンジをしない。従来の自動車の重要な部品であるギアとそれに関連するたくさんの部品は、必要なくなる。
部品の数が少なくなると、組み立ても簡単になる。組み立てが簡単になれば、組み立てを自動化しやすくなる。ロボットを導入しやすいということだ。
自動化が進めば、自動車の組み立て工場の生産ラインに働く労働者は、大幅に削減される。
たくさんの部品が不要になるということは、部品を生産しなくてもいいということだ。自動車産業に関わる部品産業は、存続の危機にさらされている。労働者も必要なくなる。
自動車産業全体が、これまでにない重大な転機にさらされていることがわかると思う。
ドイツでは、部品産業の中にすでに、将来を見越して製造部品を切り替えはじめているところもある。ただ中小企業が多い業界だけに、そのための資金を調達できない。技術開発や機械の取り替え、労働者の再教育など、やることがたくさんある。
小さな中小企業では、たいへん難しい。
自動車が電気自動車や燃料電池車に切り替わると、自動車産業においては、既存の能力では労働者の仕事がなくなる。企業ばかりでなく、労働者も新しい能力を身につけなければならなくなる。そうしないと、仕事はない。失業するだけとなる。
この転機は、もう目の前にきている。しかし、政治も経済も後手に回っているのが現状だ。そのために、十分な準備がなされていないのだ。
こうした状況が、労働者を余計不安にさせている。さらに、新しい能力を習得して、新しい仕事に就けるのかどうかも不安。新しい技術についていけ、それを習得する能力があるのかどうかも不安だ。労働者の年齢が高くなれば高くなるほど、その不安はより大きくなる。
こうした状況が連鎖して、社会をより不安にさせる。
(2020年3月05日、まさお)