外国人が増える
工業国で、外国人が増えている。
それを、単にグローバル化が進んできたからだと片付けていいだろうか。そうではないと思う。たとえば各地で戦争が続き、難民が流入している。グローバル化だけが、外国人の増えている理由ではない。
国内での農作物の収穫に、安い労働者が必要になっている。そのために、国外から季節労働者が必要になっている。工業国では高齢化で、若い技術力のある労働者が不足している。そのために、国外から労働者が必要になっている。技術革新力を維持、拡大するためにも、国外から新しい能力のある労働者をリクルートする。
外国人が増えるのには、いろいろな背景があることがわかる。その背景は、往々にして工業国のエゴでもある。でもそのことついては、ここでは議論しない。
しかし、社会の一部にはそれによって不安に思う層がある。外国人によって、国内で雇用が失われる。あるいは、自分が失業したのは外国人のせいだと思う人もいる。外国人が増えて、国内で犯罪が増えた、あるいは増えると不安に思う人もいる。
そうした思いには、はっきりした裏付けがあるわけではない。しかし、自分が不安に思っていること、あるいは失業するなどして自分の生活環境が悪化したことには、何か背景がある。その原因が、裏付けもなく外国人に押し付けられる。
そんなことはないと事実を示しても、そう思い込んだ人たちには信じてもらうことはできない。
個人的に外国人と知り合えば、外国人に対する悪いイメージがなくなる場合が多い。外国人とも、仲良く付き合っていくことができるようになる。
若い労働者が国外から移住してくることは、高齢化した工業国にとっては、社会保障制度の財源を確保する上で得なはずだ。さらに、低迷した出生率が上がる可能性もある。
それはエゴイスティックにいえば、国にとって利益となる。
でも、みんながみんな、外国人と直接付き合えるチャンスがあるわけではない。外国人が入ってくる利点についても、信じることのできない人が多い。社会には、必ず反外国人層が存在する。それを変えることは、そう簡単なことではない。
この状況は、外国人が増えるにしたがって、より悪化する。反外国人層はより一層不安となり、それが社会に広がる。社会はより不安となる。
でも、反外国人層の思いは馬鹿げたことだと、そのまま放置すべきではない。反外国人層のいい分にも、耳を傾ける必要がある。そうして、反外国人層も外国人によって多様化した社会に「統合」することも考えなければならない。
統合すべきなのは、移民だけではない。それをどう実行すべきなのか。それも問題だ。
(2020年8月20日、まさお)
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