第7章冒頭文

 『地道な市民』ではこれまで、現代社会の抱える問題をいくつかの分野に分けて提起してきた。その後、その問題に対応するにおいて何がポイントになるのか。それが、エネルギーと持続可能性であることを指摘した。ぼくはそれとともに、今後ぼくたちの取り組むべき方向性を示したつもりだ。

 ここまできてようやく、『地道な市民』の本題に入れると思う。それは、これからの社会つくりでは、市民が中心になるということだ。

 これまで社会は、産業革命を経て、産業と経済が中心の社会となった。ただこれまで問題提起したように、それが決して市民のためになるわけではない。たとえば、経済・産業活動に起因する公害が市民の健康に影響を与えることを見るだけでも、わかると思う。経済・産業活動がエネルギーによって行われ、それが地球温暖化と気候変動の原因にもなっている。

ドイツ連邦議会の前にたむろする市民

 ぼくはこれからの社会は、経済優先社会から市民優先社会に切り替わるべきだと思っている。まず本章において、どういうところで市民が中心になるべきなのか、その基本的な考え方を示したいと思う。

 ただ、誤解してもらいたくない。ぼくは単に、経済、産業活動をつぶしてしまえと思っているわけではない。これまで優先されてきた経済・産業活動を市民にやさしくするように切り替えるべきだということだ。経済・産業活動は人材があるから、成り立っている。その人材を酷使するだけでは、経済・産業活動は継続しない。経済と産業、市民が両立する社会をつくる。

 そうしなければ、社会は持続しない。いずれ停滞どころか、衰退する危険もある。そうならないようにするにはどうすべきなのか。それを考える。そのために、市民を中心に考えた社会をつくる。それが、将来社会のビジョンだ。

 社会においては現在すでに、市民が中心となる取り組みも見られるようになった。そうした具体的な事例を次の章で紹介したいと思う。それによって、市民が中心となる社会はどうあるべきなのか。そのイメージを具体化したい。

(2021年9月09日、まさお)

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