新しい経済指標

 現在の経済システムでは、毎年同じことを繰り返していては、経済は成長しない。経済が成長を続けるには、雇用数を減らして、労働者が一人でこなすべき仕事を増やす必要がある。

 これは、仕事の効率を上げるといわれる。

 こういうと聞こえがいいが、現実は経済成長を名目に、仕事が増え、毎日くたくたになるまで働かされるということだ。ただ労働者一人でできることには、限界がある。いつかどこかで、もうできない、こう以上は無理という時期がくる。

 この状態ではいずれ、個人の時間がなくなり、個人生活はなくなる。日本ではすでに、限界にきていると思う。

 これが、今の経済システムだ。それでは、市民は自分の時間を持てなくなり、生活が仕事中心になるばかりとなる。それによって得た利益は、どこにいくのか。社会全体で、公平には分配されない。

 それでは、市民中心の社会、生活ではない。

 こういう状態が続いているのは、現在の経済システムが目先の成長、目先の効率しか求めないからだ。長い目でみた、持続可能な成長はない。

市民にやさしい社会とは何か。そのために取り組むべきことをメモして、市民の共生を求めるオブジェ。非営利カフェで撮影

 その一つの要因は、経済成長をたとえば前年比で見たGDP(国内総生産)だけで把握するからだ。それが指数関数的な成長でしかないことは、すでに本サイトでも指摘している(「目先の効率を求めて走り続ける」)。

 社会、経済を持続可能にして市民中心社会を築くには、市民にやさしい経済が求められる。そのためには経済成長の指標に、市民へのやさしさや持続可能性、環境へのやさしさ、社会の多様性などを示す指標が、盛り込まれなければならない。これは、これまでの経済指標に、新しい価値をもたらす指標を加えるということでもある。

 新しい価値として、経済指標に付け加える必要があるものとして、以下を挙げることができる。
出生率
若者の就業率
国家財政の赤字度
社会保障の充実度
気候変動対策(たとえば、再エネ率、二酸化炭素排出の削減率)
省エネ率
エネルギーの自給率
農業の自給率
ライフライン公営化率
移民率
男女平等率
少数派率
低所得者層経済の割合
貧富の格差率
文化公営化率
など。

 社会の多様性を示す指標を加えるのは、単一化された社会よりも多様化された社会の方がいおいろな災難に対して丈夫で、安定するからだ。

 経済指標に加えるべき新しい指標は、順次その意義を検討して、新しい指標を削減したり、追加するほか、市民中心社会における新しい価値の比重についても検討するべきだ。

 経済指標をこう変えるだけで、社会と経済は市民にやさしく、ダイナミックに変化するのは間違いない。市民中心度を示す経済指標がない限り、市民中心の社会は実現できない。

(2022年9月15日、まさお)

関連記事:
新しい経済指標が必要
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都市を休める

関連サイト:
「持続可能性」と「経済成長」は両立できる(馬奈木俊介、九州大学都市研究センター長、PHP総研のサイトから)

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