中国鍼、漢方薬、ホメオパシー

 ぼくたちが気に入ったのは、獣医学で博士号を取得して獣医として長い経験がありながら、中国でペットのための中国鍼と中国漢方を学び、中国の東洋獣医学で治療しているところだった。

 中国にいく前は、ホメオパシーでもペットを治療していたという。

 アリアス・ロドリゲスさん。ネットで検索した限り、ベルリンにはこれだけ経歴のあるペットの代替治療師さんはいなかった。

 比較的早く、アポイントが取れた。

 早速、タロウを連れていった。タロウにとり、これだけ長い『旅』ははじめてだった。電車と地下鉄に乗っている時間は、30分余り。そこから、のどかな並木道を歩く。ベルリン自由大学のすぐ近くだ。

 タロウは最初、電車の中でミャー、ミャー泣いた。そのうちに落ち着いてきた。

 治療院は、ベルリンの高級住宅街の一角にある。半分地下に入った小さな部屋を借りて、開業している。アリアスさん一人だけだった。まず、待合室に入る。

 待合室には、犬のツボの位置を示す大きな図が貼ってある。犬だったと思うが、前の患者が終わるのを待った。アリアスさんが呼びにきた。

 まず、タロウの症状とこれまでの経緯について、長々と聞かれる。アリアスさんはそれを、一つ一つカルテにメモしていく。カルテが1枚では足りなかった。

 アリアスさんは、中国鍼とホメオパシーで治療するといった。2週間おきに、4回治療するといわれた。治療時間は、毎回1時間弱だという。ホメオパシーでは、2種類の液体を渡すので、その匂いを毎日1回、かがせてほしいといわれた。

 試してみるしかない。ぼくたちは、了解した。

 アリアスさんはまず、タロウを触診する。腸の辺りに張りがあるという。それは、それまで通った獣医にもいわれていた。

タロウの頭と脚に刺さったままの鍼

 中国鍼を取り出して、タロウの頭や脚などに刺し出した。鍼は非常に細く、それほど長くない。全部で9本刺した。

 タロウは鍼が刺さる時、一瞬ピクッと動いた。しかし、おとなしくしていた。鍼が刺されている間、連れ合いが両手のひらで抑えていた。

 鍼は、10分ほど刺したままになっていた。その後に、鍼をすべて抜く。その間先生は、ホメオパシーの水溶液を準備したりしていた。

 ぼくたちは、タロウのはじめての鍼治療でちょっと緊張した。10分は、アッという間だった。かなり短く感じた。タロウは鍼を抜かれると、一目散にキャリーケースの中に逃げ込んでいった。

 これで、1回目の治療が終わった。ぼくたちは、タロウがおとなしく治療させていたのでホッとした。そのまますぐに、地下鉄と電車に乗って帰宅する。その間、タロウは泣くこともなく、とてもおとなしくしていた。

 自宅アパートのある建物に入ると、タロウは急に泣き出した。帰宅したのが、わかったのだと思う。

 自宅に入ってキャリーケースを開けると、タロウはキャリーケースから飛び出ように出た。ぼくたちはここではじめて、治療後にタロウの顔つきを見ることができた。

 それでびっくりした。タロウの顔つきが変わっている。顔の表情がとても穏やかで、落ち着いているのだ。

 それは、ぼくの場合も同じだった。指圧や鍼灸の後に、よく見られる変化だ。鍼の効果は、タロウにもあるのだとわかった。

2022年8月08日、まさお

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