高齢、病気になった時の食事の問題
自分らしく死ぬために
前回ドイツなど国外で生活するしていて、病気になった時や高齢な場合のことばの問題について書いた。それは、食事についてもいえる。病気や高齢になると、食事のことが問題となる。
連れ合いが手術した日の夕食に、パンにハムとチーズというドイツ人の平均的な冷たい夕食が出てきたのにびっくりしたことがある。
内臓の問題で手術したのではなかったが、全身麻酔で手術したのだから、もう少し食べやすいものがあってもよかったと思う。しかしまったく、そういう気配りはなかった。連れ合いはもちろん、夕食に手がつかない。その夕食を見て、吐きそうになっていた。
まだ麻酔の切れていない患者にこんなものを出すのかと聞いたが、逆にこの人何いってんのという顔をされた。
連れ合いは手術後数日入院して、もう根を上げてしまった。日本レストランでお弁当でも買ってきてといわれる。ただその時頼りにしていたレストランが休日だったので、おにぎりを持っていった。たいへん感謝されたのを覚えている。
日本人の友人が脳出血で倒れたが、一命を取りとめた。リハビリ後、施設に入った時に夕食に出されていたものを見た時はもっと唖然とした。どのスーパーの店頭にも並んでいるようなできあいのマカロニサラダに、パンが1枚だけ。うひゃー、これでは家畜の餌と大して変わらないではないかと思った。
その施設は、高齢者の介護施設であった。60歳過ぎの男性がもう、数年前から入居していた。その男性によると、昼に暖かい食事が出るが、夕食はこういうものが標準なのだそうだ。
ぼくはあまり病気にならないが、インフルエンザで熱が出たりした時は、日本で病気になった時に食べた擦ったリンゴや、おかゆが食べたくなる。
それは、ドイツ人でも同じらしい。連れ合いの女性が日本人で、いつもおいしい日本食を食べ、日本食が大好きなドイツ人男性でも、病気になったり、高齢になると、自分がドイツでこどもの時に食べていたものが一番食べたくなる。友人のドイツ人男性の連れ合いは94歳。今は毎日、こどもの時に大好きだった玉ねぎの上にチーズをのせてオーブンで焼いたグラタンのようなものしか食べないという。

ぼくはドイツにきてしばらくは、早くドイツの食事に慣れようと、できるだけ日本食は食べないようにしていた。今もどうしても日本食でないとダメというわけではないが、日本食が食べたくなる時がある。ただコンビニにいけば何でもある日本と違い、ドイツでとなるとそうはいかない。病院や老人ホームで日本食が出てくる可能性はまったくない。早くそうなってくれないかなと期待しているが、高齢者用の日本食ケータリングサービスもまだない。
ぼくは数年前、末期がんで在宅養生していて亡くなった日本人友人の代理人をしていた。その時友人が毎日日本食を食べれるように、友人有志で毎日交代で日本食をつくって届ける日本食サポートチームをつくったことがある。本人からそう頼まれていたわけではないが、もう少量しか食べれなくても、絶対に日本食を食べたいに違いないと思ったからだ。
ドイツにいると、重い病気になったり、高齢な場合の食事はやはり心配になる。男性の場合、高齢で1人になった場合に備え、自分で日本食を料理できるように前もって準備しておかないといけないのかなあとも思う。
あるいは親しい日本人の友人を何人もつくって、たまにおにぎりなどを持ってきてもらうことなどを頼めるようにしておくことも必要なのかなと思う。
準備はあまり高齢になってからでは困るので、先のことがそろそろ心配になってくる頃から、まもなくくる食事の問題を考えて、いろいろ準備しておかざるを得ない。
2024年11月01日、まさお
関連記事:
高齢、病気になった時のことばの問題
代理人と法定後見人の違い
国外で自分らしく死ぬために
関連サイト:
ジェトロのドイツ日本レストラン一覧(ドイツ語)