ドイツの医療サービスの内容も。。。
自分らしく死ぬために
前回、ドイツの医療サービスが悲惨な状態であることについて書いた。今回は、その悲惨な医療サービスの内容についても書いておきたい。
ぼくは日本で人間ドックに入った結果、C型肝炎の疑いがあるといわれた。精密検査をドイツでしなければならなくなった。麻薬の注射や入れ墨、輸血などC型肝炎になる可能性のあることをした覚えがないのにおかしいと思った。しかし念のため、ベルリンで検査をすることにした。
ホームドクターのところにいって、血液検査をしてもらう。ドイツのホームドクターでは通常、採血した血液を専門の血液検査ラボに送る。ドイツでは、採血前に絶食するなど事前の注意事項は何もいわれないことが多い。ぼくはそれはおかしいと思って、前夜から絶食するなど日本で注意されることを守って採血にいく。
しかしその時は、最終的に血液検査の結果が出るまで、4回採血しなければならなかった。まず精密検査といっているのに普通の血液検査しかしてなかったので、やり直し。さらに午後遅くに採血したときは、遅すぎてその日のうちにラボに血液を届けることができず、これもやり直した。
余談だが、その時ホームドクターはぼくが「C型肝炎」とはっきりいっているにも関わらず、「エイズ」と勘違いする。ぼくはすぐに気づいたが、医師はたいへんだという感じで対応した。採血する看護師さんが緊張している感じだったので、ぼくは「エイズ」ではなく「C型肝炎」ですからねと、採血する介護師さんを『慰め』なければならなかった。
それからよく聞くのは、コレステロール値が高いとすぐに薬を飲めといわれ、飲まないと死ぬぞと脅されること。ぼくも、健康保険に加入するための血液検査後にそういわれたことがある。しかしぼくは、コレステロールの薬を飲んだことがない。ぼくの場合は家族性高コレステロール血症と思われるが、食生活と運動に気をつけており、あれから数十年も生きている。もう余命いくばくもない患者に、「あなた、もう死ぬからね」と、平然という医師も多いという。これは、現場で実際に聞いた人から何回も聞いたことがある。みんな信じられないといった。
何でも薬で済ませるのは製薬会社の手先のように感じてしまうが、これはまだいい方。歯医者には歯槽膿漏でなくても、歯槽膿漏の疑いがあるので治療したほうがいいといって無駄な治療をされるケースも多い。ぼくも歯医者にそういわれたが、その歯医者にはもういかなくなった。その後、別の歯医者で歯槽膿漏だといわれたことはない。
ぼくは、医師に診察してもらうことがほとんどない。それでもよく感じるのは、医師が患者に病気について話す時、患者がどう思うかを意識して話さず、治療について納得してもらう教育がされていないのではないかと思うことだ。インフォームド・コンセントがなっていないということだ。

ぼくは、亡くなった日本人の友人の代理人をしていたことがある。友人はホームドクターのところで血液検査を受けたが、結果がなかなかでないのでうんざりしていた。ようやく結果が出て報告を受けたが、大学病院で精密検査を受けるように勧められた。しかし病気については、具体的に何も説明がない。
友人は大学病院に検査になんかいくものかと、ホームドクターに啖呵を切った。
その友人は別の友人の勧めでセカンドオピニオンを聴くため、セカンドオピニオンを勧めた友人のホームドクターの診察を受けることになった。その時はぼくが同行して、診察する女医さんに事前に事情を説明し、友人ががんとして大学病院で検査を受けないといっているので、その辺の配慮してほしいとお願いした。
その女医さんはうまく対応してくれる。女医さんの医院では血液検査ラボがあるので、まずをその結果を見てどうするか決めましょうという。大学病院で精密検査をした方がいい場合は、大学病院に知り合いがいるので、直接話をしておきますから、心配しないでいいですよという。
結局、友人は大学病院に検査入院した。ぼくはがんだとはわかっていたが、検査をして本人に説明があるのかと思っていたら、本人には何も説明せずに、抗がん剤治療するための検査がいくつも続けられていた。その一つの検査中、医師からあなたは年齢の割に元気なので、抗がん剤治療するためにがんの特性を検査しているといったという。
そのうち、友人は毎日続く検査で食事が制限されるのに耐えられなくなって泣きべそをかいて、ぼくに電話をしてきた。コロナの時期だったので、ぼくば入院中の友人のところにはいけなかった。ぼくは友人に電話で、看護師さんをすぐに呼んでもう検査なんかしたくない、ちゃんと食べさせてほしいといってはどうかといった。
それでようやく、病院側が気づいたのだった。担当医が病状を説明し、そこではじめて友人に検査を続けて抗がん剤治療をするか、検査せずに緩和ケアに入るかと聞いたという。
友人はその時に、覚悟を決めたと思う。自宅療養することにしたのだが、その場合、病院側が自宅療養のための訪問医と看護チームを確保しない限り、患者を退院させることはできない。しかしその手配をしなければならない病院の社会福祉サービス部からは、今緩和ケアの訪問医を見つけるのはたいへん難しいから、患者が外国人だからその方が見つけやすいかもしれないから、自分で見つけてほしいと、緩和ケア医のリストを渡されただけだった。
しかしどこに電話をしても、空きがないといわれる。ぼくの知人が介護関係の仕事をしているので相談すると、知人が外国人向けにホスピスを仲介している団体を紹介してくれた。そこが緩和ケア訪問医を見つけてくれ、自宅療養体制ができた。見つかった訪問医は、それまで何回電話をかけて問い合わせても空きがないといつも断られたところだった。
友人はホームドクターのところで最初に血液検査をしてから、2ヶ月余りで亡くなった。あっという間で代理人としてやることがたくさんあったから、それでいいのかと振り返る余裕はなかった。しかし今から思うと、何というひどい医療体制なのかと呆れざるを得ない。
ぼくは医師にかかることがほとんどない。それでも、これまで問題なく生きてこれた。病気のことは医師に頼らず、自分の病気は自分でいろいろ調べて知っておくべきだと思っている。そして自分のからだと相談しながら、自分で判断するのが一番だと思っている。
ぼくのモットーは医師を当てにしないことだが、それとてドイツの医療体制の下で高齢になって重病になったらどうしようという不安がいつも葛藤している。
2026年4月29日、まさお
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