美しい水車小屋の娘

まさお:前回は、「りんごが木から落ちる」ことから、水力発電の話をしたね。「りんごが木から落ちる」ことが、水力発電の原則になっていた。この原則は、発電以外にもどこかで使っていないだろうか。

ハナコ:えーと。。。

タロウ:わかんないなあ。

ま:「ディ・シェーネ・ミュラーリン(Die schöne Müllerin)」。日本語では、「美しき水車小屋の娘」とか、「美しい水車小屋の娘」とかいっているけど、聞いたことないかな。聞いたこと。。。

ハ:ええ???それ何か、歌のタイトル?

タ:水車小屋だから、小川があるよね。わかった。それ、ひょっとして「ます」という歌と関係あるのかな?

ベルリン東部のブッコウで見た小さな水車。劇作家ベルトルト・ブレヒトは、ブッコウに夏の別荘を持っていた。

ま:おお、いいね。近づいてきた。「ます」は、だれが作曲したんだっけ。学校の音楽の授業で習ってないかな。

ハ:それ、ひょっとしたらシューベルトだった?

ま:そうだ。「ます」を作曲したのは、オーストリアの作曲家フランツ・シューベルトだ。でも「ます」は、「美しい水車小屋の娘」とは違うんだ。「美しい水車小屋の娘」はシューベルトの歌曲集で、20曲からできているんだ。でもタロウは、いいところに気づいたね。水車小屋と小川を結びつけた。
 シューベルトは、19世紀前半に活躍した作曲家。その当時、水車小屋は何のためにあったのだろうか。知ってるかな。

タ:わかんないよ。そんな昔のこと。

ま:そうだよな。実は、水車小屋では麦などの穀物を製粉していたんだ。麦を収穫して、それを食べることができるように、砕いて粉にしていたんだ。「美しい水車小屋の娘」は、当時の修行に出た若い粉職人の物語なんだ。若者は、道中で見つけた水車小屋にいた娘に恋をする。でも結局、恋は実らなかった。途方に暮れた若者は、小川に入って自殺してしまうんだ。

ハ:悲しい物語ね。

ま:そうなんだ。でもここでは、それがテーマではない。「りんごが木から落ちる」ことと水車小屋が、なぜ関係あるのだろうか。水力発電では、位置エネルギーと運動エネルギーの話をしたね。

タ:わかった。小川の水は動いているから、運動エネルギーなんだよ。水車は、その運動エネルギーによって動くんだ。

ま:おお、いいね。でも水車は、運動エネルギーだけで動くのかな。水車は、水をどうするんだっけ。

ハ:あっ、そうだ。水は水車によって上に引き上げられる。ということは、今度は位置エネルギーになるということかしら。そして、引き上げられた水が落ちると、今度は位置エネルギーが運動エネルギーに換わるのね、多分。

ま:その通りだ。

タ:水が重力に引かれて落ちるということか。

ま:そうだ。でもそれで、どうして製粉できるのかな?

ハ:水車が回っているから、その回転を使って麦を砕くのかな。。。

タ:でも、回っているだけではね。

ま:水車小屋には、杵(きね)と石臼があった。石臼に麦を入れて、杵で叩いたのだ。

ハ:ということは、水車の回転で杵を持ち上げ、それを石臼に落として叩いたということかしら。

タ:それも、運動エネルギから位置エネルギーへ、さらに運動エネルギーに換わっていったということかな。

ま:その通りだ。そうしてエネルギーを使って、製粉していたのだ。

ハ:何か機械みたいね。簡単なものだけど。

ま:いいところい気づいたね。そうなんだ。小川の流れを使った製粉する機械のようなものだな。そのことを忘れないでおいてくれよ。

2021年5月19日、まさお

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関連サイト:
シューベルトの歌曲集「美しい水車小屋の娘」(歌:フリッツ・ヴンダーリヒ(テノール))

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