二酸化炭素を一番排出しているのは誰だ?

まさお:これまで、二酸化炭素などの温室効果ガスを排出している部門を挙げてきた。
 それでは、その中でどの部門が一番、二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しているのだろうか。
 ただここではまず、二酸化炭素だけから見てみようか。

ハナコ:ええ、それはどうしてなの?

タロウ:ぼくも、よくわかんないな。

ま:そこは、難しい問題でもあるんだ。
 この前、農業においてたくさんのメタンガスが排出されていることは知ったね。でも農業からは、二酸化炭素も排出されている。
 それに対して、他の分野からはメタンはあまり排出されていない。
 その事実を統計としてどう表示するのか。それが問題だ。
 温室効果ガスの中では、二酸化炭素が一番排出量が多いので、二酸化炭素の排出を目安にすることが多いのだ。

タ:でもそれでは、メタンがどれだけ多いかわからないじゃないの。

ま:それはそうだ。でも温室効果ガスの排出をガス毎に見れば、ガスそれぞれの排出量はわかるよね。

ハ:なるほどね。やはり統計といっても、それをどう取り扱うかは簡単なことではないのね。

ま:そういうことでもある。
 さあ、本題に入ろう。最初にいったように、二酸化炭素の排出を部門別に見るのだ。
 ところで二酸化炭素を排出している部門には、どういうものがあったかな。

タ:発電でしょう。産業、交通だね。

ハ:タロウは、簡単なものだけいったわね。
 それから、「民生」という難しいことばもあったよね。それが、家庭と業務に分類されているのではなかったかしら。

タ:農業も入れたほうがいいのかな。

ハ:農業からはメタンが主に排出されるのだから、入れなくていいのではないのかな。肥料を製造する時と、農産物を輸送する時に排出される二酸化炭素は、産業と交通に入っているでしょう。

タ:そうだね。

ま:きみたち、いいところに気づいたね。
 ということで、農業はここでは入れない。いいかな。
 さてそれでは、二酸化炭素を一番排出している部門はどこだろうか。

ハ:それは、日本でということよね。それとも世界全体で?
 国によって、違うよね。

ま:ああ、ごめん、ごめん。そうだった。もちろん、日本でということだ。

タ:ぼくは日本のことだと思っていたけど、それをはっきりさせておくのは大切だよ。各国によって事情が違うのだから。

ま:その通り。きみたち、よくわかってるね。

タ:まあね。そんなことは簡単さ。

ハ:タロウったら、お調子がいいのだから。それでは、どの部門が一番多く二酸化炭素を出しているよの。

タ:それは、交通にきまっているでしょう!
 あんなにたくさん車が走っているのだから。それに、飛行機もたくさん飛んでいるよね。

ハ:そうかな。わたしは、発電だと思うわ。
 わたしたち、たくさんの電気を使っているはずよ。ものづくりでもたくさんの機械が電気で動いているでしょう。絶対、発電よ。
 夏には、エアコンをがんがんかけているしね。

ま:さて、どちらかな。発電か、交通か?

タ:なるほど。そういわれてみると、発電だね。

ま:そうなんだ。発電なんだ。ハナコはエアコンのことなど、いいところに気づいたね。
 発電、熱も含めてということなんだけど、エネルギー関係だけで二酸化炭素の排出量全体の40%を超えるんだよ。エアコンの冷たい空気も冷熱といって、熱になるんだ。

ドイツ西部にある石炭型火力発電所。1基(左)は脱石炭の枠内で、すでに停止されている。煙突から煙がでているほうは、まだ稼働中だ

タ:それでは、交通はどれくらいなの。

ま:その半分の20%くらい。
 では、産業はどうだろう?

ハ:産業は、製鉄や化学産業で、たくさんの二酸化炭素を出しているのではないかな。

ま:そうだ。産業では、排出される二酸化炭素の4分の1以上が排出されている。

タ:ということは、民生の業務や家庭から排出される二酸化炭素は少ないのか。

ハ:第一、わたしたちは夜間にそれほど活動していないでしょう。調理をする時間だって限られているしね。

ま:そうなんだ。だから、民生全体で10%余りの二酸化炭素しか排出していない。業務と家庭では、ほぼ半々。業務のほうがちょっと多くなっているはずだ。
 でも、温暖化対策によって二酸化炭素の排出を減らしていけば、部門毎の割合には多少増減があるし、年毎の景気などにも左右される場合もある。
 だから、部門別の割合はだいたいの目安だと思っていてほしい。
 いいかな。

ハ+タ:わかった。わかった。今日は、これでお終い!

ま:おい、きみたち。それは、ぼくが決めることだろう。

タ:まさお、いいから、いいから。気にしないで!

2023年5月19日、まさお

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関連サイト:
温室効果ガスの現状等(日本経済産業省)

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