エネルギー選択宣言ブログ

都市を冷やす

 2019年7月25日、ドイツ北西部のリンゲンで、これまで記録された気温で最高の42.6度を記録しました。その前日、ドイツ西部で40.6度と、新記録が達成されたばかりでした。それが、一夜にして2度も高くなりました。

 前月6月も、月平均気温がこれまでの最高を記録したばかり。気候変動への早急な対策を求める若者たちの抗議デモFridays4Futureがドイツ全国で広がっている中、実際の生活で温暖化を体感する事態になってきました。

 ドイツは、2038年までに脱石炭することを政治決定しました。しかし、政治がこれまで温暖化対策に真剣に取り組んでこなかったもの事実です。ここにきてようやく、一般市民ばかりでなく、政治においてもこれは何とかしなければという機運が生まれてきたようにも感じます。

 政治が実際に、どの程度の温暖化対策を打ち出してくるのかは、まだかわりません。ドイツ政府は夏休み明けの2019年9月に、気候保護法案の形で具体的な施策を提示する予定です。

 それとは関係なく、温暖化に対して具体的にどうすれば、暑さをしのぐことができるのかということが議論されるようになってきました。

 実際にとても暑いのだから、生活の中で暑さをしのぐために何とかしなければならないということです。

 ただここで、すぐにクーラーを取り付ければいいという議論にならないのは、とても正当だなと思います。

 クーラーをつければ、その場は涼しくまります。でも街全体は、むしろそれによってより暑くなります。それでは、都市にとって暑さ対策にはなりません。

 ドイツの一般家庭には元々、クーラーがほとんどありません。家庭にクーラーを取りつければ、確実に涼しい生活ができます。でもそれは、暑さ対策ではないとされるところがすばらしい。

 ぼくは、エネルギー選択宣言の5章で「都市を冷やす」という項を設けました。都市造りにおいて、暑さ対策をすべきだからです。それは、都市全体を生活空間として維持するためです。

 今回、ドイツでもそういう方向で議論されていることは、さすがと思います。

 都市をできるだけ緑地化し、大きな公園、広場を設置すること、都市に噴水など水場を設けること、都市の道路を広くして風通しをよくすることなどが、必要になるとされます。

 さらに、今後頻度が増す集中豪雨にも備えなければなりません。そのためには、地面をアスファルトやコンクリートで舗装するのではなく、できるだけ土を残して、雨水が地面に浸透していくようにします。それによって、下水道が雨水で一杯になって、街が水浸しにならないようにします。

 経済性を優先させ、建物をぎっしりと並べて建設してきたこれまでの都市造りではもうだめだということです。そうしなければ、都市では温暖化によってこれまで通りの生活ができなくなります。

 さらに、暑さとともに仕事のスタイルも変わってきます。暑い日は出勤せず、ネットを使って自宅でホームワークできるようにする方法も考えます。

(2019年7月28日、まさお)

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