熱供給の再エネ化を進めるには

 ドイツでは、暖房や給湯の熱供給を再生可能エネルギーで行うことが進んでいません。それが今、エネルギー転換を進める上で重要な課題になっています。

 熱供給の再エネ化を一番積極的に進めているのは、ドイツ南西部のバーデン・ヴュルテムベルク州。そこでも、熱供給における再エネ率はまだ20%に達していないと思います。ドイツ全体でも、まだ15%弱です。

 熱を再エネで供給する方法は、いくつも考えられます。

 一般家庭では、屋根にソーラーコレクターを設置して、太陽熱でお湯をつくります。木を細かく破砕した木質ペレットを、ストープや暖炉などの暖房器の燃料として使うこともできます。それで、暖房と給湯を行います。この場合、暖房器に水を貯めておくためのタンクをつけてお湯を沸かします。

 地域全体に熱を供給することもできます。たとえば森林や公園、庭などから排出される木の枝や草などをバイオマスとして、ボイラーの燃料に使います。その熱を、地下に埋設された熱源供給配管網を通して公共施設や一般家庭に供給します。

 下水処理場では、メタンガスが発生します。それを回収して燃料電池の燃料とすれば、熱電併給することができます。家畜の糞や農業で排出される茎などの生物資源、あるいは食品産業や一般家庭から排出される残や生ごみなどを混合して発酵させれば、バイオガスが発生します。それを燃料として、熱電併給します。

 再エネで発電すると発電量に大きな変動があるので、余剰電力で水素を製造します。その水素をバイオガスに混合したり、二酸化炭素と結合させてメタンガスにすれば、熱供給用の燃料として利用することができます。

 こう見ると、熱供給では太陽熱とバイオマスがその主なエネルギー源になるといっていいと思います。

 一般家庭も含め、建物で暖房と給湯のために使った熱を回収して、その熱を再び利用すれば、熱を無駄にしません。

 冬の寒いドイツでは、ヒートポンプが今後、熱供給にとても重要になると見られます。その電源として、再エネで発電された電気を使用します。

 再エネで発電する場合、安定供給するためには、蓄電池など電気を貯蔵するものが必要です。同じことが、再エネによる熱供給にもいえます。熱(お湯)を貯蔵しておくためのタンクがあったほうが、より効率よく熱供給を行うことができます。

 タンクはお湯を貯蔵しておくだけではなく、加熱してお湯の温度を高くするためにも役立ちます。そのタンクを地中に埋めれば、土が断熱効果をもたらしてくれます。熱(お湯)用のタンクを建物下の土に埋めれば、建物のために暖房効果も生まれます。

2019年12月22日、まさお

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その他、再エネいろはも参照

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