構造改革において利益分配を考える

 ぼくはこのブログにおいて、再生可能エネルギーへ転換する根本は脱蒸気機関と脱内燃機関であると書いてきました。それが、近代のはじまりをもたらした産業革命から脱皮することでもあります。

 再生エネでは、小規模施設を分配型に設置します。これまでの大型施設を集中的に設置する構造から大きく変化します。

 そのためには、構造改革をしなければなりません。

 ただ構造改革によって、勝ち組も負け組も生まれます。これは、避けることができません。それが、再エネへのエネルギー転換を躊躇する原因にもなっています。

 特に日本では、長い間自民党政権が続いていることから、利権の流れがしっかりと出来上がっています。地方にいくと、電力会社が最大の雇用主です。

 この構造を変えて、地方経済が成り立つのか、失業者が激増するのではないかという不安も伴います。それが、日本のエネルギー転換を遅らせている大きな背景だと思います。

 その牙城を崩すのは、そう簡単なことではありません。

 でも、日本が再エネへのエネルギー転換を躊躇すると、将来日本の国力そのものに大きな影響を与えます。日本がエネルギー転換を実現しなけば、国際的な競争力を失っていきます。

 再エネへ転換した国では、今後電気料金が下がっていくのに対して、エネルギー転換のできない日本では、電気料金が上がるばかりです。再エネの導入に伴う技術革新でも、日本は遅れをとってしまいます。

 それでいいとは思えません。日本政府は遅かれ早かれ、痛みの伴う構造改革を行わなければなりません。それを躊躇すればするほど、国家のためになりません。

 構造改革に対する反発を緩和するため、できるだけ負け組を少なくすることが必要です。負け組になっても、構造改革の恩恵を受けることのできる対策を講じることも大切だと思います。

 こうして、構造改革に伴う利益と負担を広く社会に分担します。

 それが具体的にどういうものになるかは、地方の条件によって異なります。それに関しては、地方からアイディアが出てこなければなりません。また、地方に独自のアイディアを実施する権限もなければなりません。

 日本のような中央集権的な政治構造では、構造改革に適しません。

 ドイツは、脱石炭を決めました。2038年までに、すべての石炭火力発電所と石炭炭鉱を閉鎖する予定です。脱石炭に向けた社会的なコンセンサスを求めるため、被害をうける州、経済界、労働界、学術界、市民社会から環境団体などの代表が集まり、検討を続けました。

 そのために、その影響を受ける州それぞれから構造改革案も提出させました。

 こうして、みんなが納得できる形でコンセンサスを求めました。そして、それに伴う負担を社会全体で負担します。

 脱石炭の決定には、それでは遅すぎると批判もあります。それでうまくいくという保証もありません。脱石炭を進めるプロセスにおいて、状況をモニタリングして修正するプロセスも必要になります。

 ドイツのやり方は、構造改革を行うための一つの手法だと思います。でも日本で、それを1対1でコピーしていいとも思いません。日本には、日本のコンセンサスを求める手法が求められます。

 ただ、日本でこれまで行われてきたトップダウン方式ではなく、社会のいろいろな層が参加してコンセンサスを求めなければなりません。それが、単なる目先を騙すだけのアリバイ工作であってもなりません。

 各層が同じ権限を持って、コンセンサスを求めます。

2019年12月15日、まさお

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