エネルギー選択宣言ブログ

原発はすべて国有化するしかない

福一の汚染処理水問題を考える(4)

 これまで3回に渡って福島第一原発の汚染処理水の問題から見えることについて書いてきました。

 事故原発を所有する東京電力が事故被害者を賠償するどころか、事故原発を処理することもできない状態になっています。それに必要な資金を政府が肩代わりしているので、東電はかろうじて存続できています。

 しかし、政府の肩代わりする資金が返済される見込みはありません。すべて納税者負担になるということです。

写真後方に見える煙突などがあるところが、事故原発だ

 この状態で、東電は独立した企業といえるでしょうか。いえないと思います。本来だと、東電は国有化され、国家の管理の下に置かれなければならないはずです。

 でも、そうなっていないことにも問題があります。

 それが、東電の位置付けをわからなくさせ、汚染処理水問題を混乱させて長引かせている背景にあることはすでに書きました。

 原発の状況は、東電だけの問題ではありません。福島第一原発の事故に関しては、それによって発生するコストを、その他の原発を保有する大手電力会社も一部負担しています。さらに電力大手は、電力小売の自由化で激しい競争にさらされ、コスト削減圧に悩まされています。

 原発を所有する電力大手には、原発を稼働も、廃炉もできない状態で、莫大なコストも発生しています。

 その結果、電力大手の経営状態はかなり厳しくなっています。安定供給どころか、原発の安全も維持できなくなる可能性もありえます。

 これらの問題を緩和する対策が、容量市場を設置することでした。容量市場は東電を筆頭に、電力大手の救済措置といっても過言ではありません(容量市場については、以下の関連記事を参照)。

 容量市場の運用によって、電力分野では構造改革が進まなくなります。これまで通り、電力大手が利益を得る仕組みが維持されます。容量市場で不利になる再生可能エネルギーで、再エネの拡大が妨害されます。これでは、今のまま電力システムを維持するために、電気料金だけが上がっていきます。

 菅首相が昨年就任した後、急に日本も2050年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルを実現するといいだしました。その背景には、石炭火力発電と原子力発電を維持、拡大させたいとの思惑があるのがわかります。

 こうした状況で、日本はどうなるのでしょうか。

 日本の電力業界は硬直どころか、停滞してくだけです。泥沼ですね。発展性がありません。出口がなくなるだけです。このままでは古い技術と構造に依存するだけです。日本は新しい技術を必要とせず、世界の技術開発競争から取り残されていきます。それとともに、国際競争力も失います。

 それでいいのでしょうか。

 国の将来を考えたら、ぼくは今、電力において構造改革することこそが 日本に将来のビジョンをもたらしてくれると思います。

 この硬直した状態から抜け出して構造改革する効果的な方法は、すべての原発を国有化して、国の管理の下におくことではないかと、ぼくは思います。

 それによって、原発を有する電力大手は、その負担から解放されます。身軽になるので、将来に向けてより柔軟に構造改革してくことができるようになります。さらに、廃炉に伴う買収のリクスからも解放されます。

 国はそれに平行して、原発を段階的に廃止することができるようになります。原発に依存する地元は時間をかけて構造改革を進め、原発に依存しない経済を構築できます。そうすれば、たくさんの人が失業者せず、新しい職につけるようになります。

 地方では経済的に電力に依存する度合いが高いので、これは地方を再生することにもなります。

 日本が将来にビジョンを持てる道は、これしかないと思います。

2021年4月04日、まさお

関連記事:
ドイツは容量市場を選択しなかった
脱原発が将来を決める
東電は破産してしまっている

関連サイト:
資源エネルギー庁原子力政策の状況について

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