化繊ばっかり、日本では衣料品を買うのに困った

 昨年2022年の秋、日本に一時帰国していたのは書きました。短期に帰ってくる予定が、2カ月も滞在することになりました。

 滞在が長くなるにつれ、寒くなりました。そんな予定ではなかったので、厚手の衣服を持ってきていなかったのです。ちょっとの期間だから、何とかなると思っていました。軽率でした。12月に入ると、日本でも寒いです。

 日本で、何か厚手の衣類を買おうと思いました。

 まず最初にいったのが、日本大手のアパレル店。ベルリンにもすでに、何店も出店しています。製造と小売を一括に行う格安店です。

 知ってはいましたが、店頭にあるのは、ほとんどが化繊ばかりでした。ぼくは化繊だと、皮膚がかゆくなりやすい。そのため、綿のものがほしかったのです。

 綿の衣服もありました。しかしどれも、ペラペラで薄い。こんなに薄くては、ベルリンに戻ってからは、夏しか使えません。

 厚手の綿のトレーナーもありました。しかし、べらぼうに高い。それなら、ベルリンに帰ってから買った方が安く上がります。この店で買うのは、諦めました。

 次に、オーガニックの綿製品などを割安に販売するお店にいってみました。しかしここでも、どの衣料品も薄くて、買う気になりませんでした。

 日本は化繊大国なのだと、つくづく感じました。ぼくは日本の寒さに耐えて、ベルリンに戻るしかないと思いました。

 化繊は安いし、薄い。それでいて暖かいので、重宝します。湿気の多い日本では、化繊は洗濯してもすぐに乾くので、日本の気候に適しているのがよくわかります。最近の化繊はよくできていて、静電気も発生しにくくなっています。

 しかし化繊には、マイクロプラスチックによる環境汚染問題があります。マイクロプラスチックは、小さなプラスチック粒子のこと。それが海洋に流れ込み、海洋環境に大きな影響を与えています。

 マイクロプラスチックの問題は、レジ袋やファーストフードのプラスチック製容器、ペットボトルの蓋などの問題だ、と思っている人もいると思います。

コロナ禍で使われていたマスク。そのマスクのほとんどは、プラスチック製だった。そうでないと、ウイルスを遮断できない

 しかし化繊衣料を洗濯する時にも、衣類からマイクロプラスチックが脱落して、海洋環境に流れ込みます。コロナ禍においても不綿布マスクによって、たくさんのマイクロプラスチックが排出されました。

 製法者側につくる責任があるのは、いうまでもありません。製造者側には製品が処分されるまで、責任ある対応が求められます。それに対して買う側、使う側には、責任はないのでしょうか。

 ぼくが『エネルギー選択宣言』のシリーズを書いたのは、電力を選択する時、電力がどう発電されたのか、環境への影響はどうかをよく考えて選択したいと思うからです。

 そればかりではありません。

 商品を買う時にも、エネルギーがどれくらい使われてきたのか、買った後にエネルギーがどれくらい使われるのかも考えて買いたいと思います。商品を買う責任、使う責任も、ぼくたち消費者にあります。そういう意識を持ちたい。

 マイクロプラスチックの問題についても、同じことがいえます。衣類を買う時も、衣類を製造する時のこと、使う時のこと、処分するまでのことも考え、環境に対する衣類による影響と負荷について考えたいと思います。

 とはいえ、ヒートテックは暖かく、寒いドイツではとても快適です。コロナ禍では、化繊マスクは必要不可欠でした。綿マスクでは、ウイルスを遮断するのに限界があります。

 その時、その時に応じて、便益と影響のバランスを考えて買いたいものです。

2023年4月02日、まさお

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