SDGsって知ってますか

 SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、Sustainable Development Goalsのこと。日本語では、「持続可能な開発目標」とされています。

 外務省のサイトでは、以下のように説明されています。

 2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。

 ここで、「発展途上国のみならず」という表現が、ぼくにはおかしいと思います。

 地球温暖化に伴う気候変動をもたらした主な『犯罪者』は、先進工業国です。持続可能な開発において、先駆者として取り組み、お手本にならなければならないのは、むしろ先進工業国です。先進国は発展途上国を持続可能な開発においてリードし、支援していかなければならない立場にあります。

 さらに外務省は、「日本としても積極的に取り組んでいます」としています。でも、本当ですか。

 確かに、今日本では「SDGs」ということばが、いろいろなところで見かけるようになりました。そのために特別に設置されたホームページも、ちょっと検索するだけで、たくさんあるのがわかります。

 それに対してドイツでは、SDGsということばは、新聞雑誌紙上や政府の広報などでもほとんど見かけません。

 一般市民に路上でインタビューしても、ほとんどの人はSDGsといっても、何か知らないと思います。

 「持続可能」ということばであれば、ドイツでは山のようにでてきます。たくさんの人が知っています。ドイツでは2000年代のはじめから、持続可能な経済、持続可能な社会を実現するため、たくさんの試みが行われてきました。

 ドイツは今、二酸化炭素の排出を実質ゼロとするカーボンニュートラルを2045年までに実現することを目標にしています。

 日本の外務省は、「日本としても積極的に取り組んでいます」といっています。でもたとえば包装材を含め、紙を使う日本の商品に、「FSC」マークがついているでしょうか。ほとんどついていないと思います。

 それに対して、ドイツで使われる紙や木製品のほとんどに、FSCマークがついています。

 FSCマークは、森林を管理して持続可能な林業を行うことによって、森を守るためのものです。FSC認証を受けた木からできた紙に、FSCマークがつけられます。そうして、森林を持続可能に維持します。FSC認証を受けた商品を増やす目的で、はじまりました。

 つまりFSCマークがついておれば、国内、国外を問わず、森林を守ることを原則にしてつくられた商品であることを示します。

 日本の森林には、FSC認証を受けたものが増えていると聞いています。しかし日本の商品にこのマークがついていないと、海外からFSC認証を受けていない木を利用していることを意味します。海外において森林が破壊されるのを容認しているのと変わりません。

 日本の本には、FSCマークがついていません。それに対して、ドイツで出版される本ではほとんどに、FSCマークがついています。

 FSCマークのついていない紙を使って、持続可能な開発やSDGsに書いて意味がありますか。それでは、偽善ではないでしょうか。

FSCマークのついている商品例。テトラパック(左上)、商品カタログ(右上)、本(左下)、カレンダー(右下)。カーボンニュートラルと入っているものもある

 ぼくはこのサイトにおいて、環境問題や持続可能な開発について、いろいろと取り上げています。このテーマに限らず、紙媒体を使って書く時には、FSCマークのついていない紙は使わないつもりです。

 書いたものを今、主にネットだけで公開しているのは、そのためです。

 ぼくがなぜ、FSCマークを取り上げるか。それは、FSCマークが商品についておれば、消費者の目に留まりやすいからです。いくら持続可能な開発について取り組んでも、消費者が自分の生活の身近なところで、持続可能なテーマに接することがないと、浸透しません。

 FSCマークは、一つの環境教育になるものだと思います。それなくて、何がSDGsですか。同じことが、Fairtradeのマークについてもいえます。

 日本での取り組みは身近な生活から離れ、SDGsということばだけが先行しています。中身が伴っていません。それでSDGsキャンペーンを行なっても、社会の底辺にまで浸透しません。

 SDGsについて何をやろうが、生活と密着していない限り、意味がありません。表面的な取り組みにすぎません。それは、国連で決まったからやるしかないという認識しかないからだと思います。それが本当に必要なことが、自覚されていないのだと思います。

 日本は世界から、取り残されています。

2022年8月28日、まさお

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関連サイト:
SDGsとは(日本外務省)

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