経済が指数関数的に成長するとは何を意味するのか

指数関数的社会への警告(3)

 指数関数的社会への警告の2回目で、新型コロナの感染拡大と同じように、経済も指数関数的に成長していることを指摘しました。これは、経済成長だけではありません。銀行の利子も消費者物価も指数関数的に上がっています。

 それに気づかないのは、経済では年間単位で指数関数的に伸びるからです。新型コロナでは、それが1日単位で感染が拡大します。

 ということは、経済はある程度成長すると、経済成長率が2%程度でもある段階から経済が垂直線的に伸びるということです。それが、指数関数計算の特徴です。

 これは、何を意味するのでしょうか。

 経済が急激に成長すれば、社会は全体として豊かになります。

 でも、経済規模が大きくなればなるほど、毎年の成長を維持し続けるには、毎年毎年たくさんのエネルギーを消費しなければなりません。食品の需要も同じように増大します。

 石炭や石油など有限な化石燃料を基盤にしたエネルギー供給システムでは、いずれエネルギーが枯渇します。食品の需要を満たすにも限界があります。エネルギーが枯渇すると、経済は指数関数的に縮小して、ほぼ直線に降下していきます。

 この問題に気づいたのが、世界の思想家たちが集まったローマクラブでした。このままでは、人類の環境を維持することができないと警告しました。

 環境汚染、気候変動も、経済が指数関数的に成長することととても深い関係があります。経済が指数関数的に成長する限り、環境汚染も気候変動も止めることは難しくなります。

 経済成長を指数関数的に伸ばすためには、人々がより働かなければなりません。これが、経済でいう効率の問題にも関わります。できるだけ働く人を少なくして、一人でこなす仕事量を増やさない限り、指数関数的な経済成長を維持していくことができません。

 人々は、時を経るにしたがって経済規模が大きくなるとともに、よりくたくたになるまで働かなければならなくなります。

 利子も、指数関数的に増えていきます。これは、金持ちであればあるほど金持ちになる構造ができていることを意味します。格差の問題が指摘され、いかに対策が講じられようとも、この制度の下では格差の問題は解決できません。
 
 これが、資本主義が基本です。資本主義の真の顔といってもいいかと思います。

 ぼくたには今、新型コロナの問題に直面しています。それでは、ぼくたちは将来の社会のために、そこから何を学ぶことができるのでしょうか。

 次回は、それをテーマにします。

(2020年5月01日、まさお)

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