ドイツから見た日本の内閣

 安倍首相が退陣して、菅新政権が誕生しました。新政権の支持率が65%だという新聞記事を読んで、それにはちょっとびっくりしました。

 ええ、日本ではみんな何を考えているんだろう、どうしたんだろうと、信じられませんでした。単なる日本とドイツの温度差ではありません。

 今回の組閣では、ドイツから見ていて、不思議に感じることがいろいろありました。それは日本の政治の根本的な問題で、組閣がある毎に感じる問題でもあります。

 一つは、大臣が高齢だということです。大臣に指名されるかされないかは、当選回数や所属派閥が関係しているのは知っています。それにしても高齢すぎます。

 これでは、老人クラブとそのかばん持ちたちです。いや、小泉進次郎さんは30代じゃないかという人もいると思います。でも小泉さんは、看板とはいえ、まだかばん持ちです。

 たとえばオーストリアのクルツ首相は30代です。20代で外相になっています。フィンランドのサンナ・マリン首相も30代です。その連立5与党のうち、3党の党首が30代の女性です。

 老人クラブにも関わらず、若い世代の支持率が高いのも良く理解できません。日本には、世代交代が必要だという意識はないのでしょうか。ぼくは日本では、若い人たちの新しいアイディアで国と政治を活性化させることが必要だと思います。

 高齢者に頼るのではなく、若い人たちにどんどん出てきて、活躍してほしいと期待しています。

 この内閣の顔ぶれを見て、そういう議論が起こらないのも不思議でしようがありません。それとも日本の若い世代には、国に対する責任を持ちたくないという意識が強いのでしょうか。

 ドイツでは政治家に、定年退職年齢は規定されていません。でも定年退職年齢に達すると、政治家自らが引退して、若い世代に席を譲るケースが多く見られます。

2014年4月の安倍首相訪独時に抗議デモに参加する現地女性たち

 次は、女性大臣が2人しかいないことです。ドイツの内閣は、メルケル首相が女性。その他女性大臣が6人、男性大臣が9人です。フィンランドの内閣は、女性のサンナ・マリン首相をはじめとして、大臣19人のうち12人が女性です。

 日本の場合、女性の政治家は男性社会で生き延びていくために、男性と同じことをしなければなりません。だから女性政治家といっても、男性だと思っていたほうがいいのもわかっています。

 でもぼくは、これからは女性としての見方を政治と社会に取り入れていかなかればならないと思っています。女性の見方のできる、女性として生きる女性に大臣になってもらいたい。そう思っています。

 でもまずは、男性気質の女性大臣でもいい。女性大臣が増えれば、女性として政治をやっていける土壌ができていくのではないか。少しでもそう期待したいと思います。

 この点でも、日本で活発な議論にならないのが不思議でしようがありません。今日本は、若い世代ばかりでなく、女性の力を必要としていると思います。そうしなと、日本は世界から取り残されるだけになります。

 今回の組閣でさらに気になったのは、菅新首相をはじめ、政治家の政治思想が伝えられることがごく稀だったことです。それよりも、こどもの時のことや政治手腕、生活臭を匂わせる報道が多く目立ちました。国民への近さをアピールしたかったのだと思います。でもそれでは、広告代理店がタレントを売る売り方とまったく変わりません。

 日本のメディアもそうですが、政治の世界も、広告代理店に牛耳られてしまっているのかと思うと、とても情けなく感じます。

(2020年9月18日、まさお)

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