民主主義を守る

 ぼくは、エネルギー選択宣言ブログにおいて「温暖化懐疑論と米国大統領選について思う」という記事を書きました。そこでは、民主主義を看板にしながらも、実際には民主主義の価値観とはまったく矛盾することが行われていることを指摘しました。

 米国のトランプ大統領は今回の大統領選挙においてばかりでなく、これまでの大統領の政治そのものが民主主義を破壊するものでした。

 その現実がはっきりしているにも関わらず、コロナ対策に反対する人たちは、コロナ対策は民主的ではない、人権を侵害しているとして、それに対抗するお手本がトランプ大統領だとしてきました。大統領を神聖化して、トランプ大統領どころか、ロシアのプーチン大統領のやっていることまでもすべてが正しいと主張します(「ドイツのコロナデモを検証する(4)」の記事を参照)。

 民主主義を主張しながら、それを破壊する2人の大統領を崇拝するなど、身売り行為もいいところです。

 この矛盾が、右翼ポピュリズムにうまく利用されています。コロナ対策に反対するデモが右傾化、右翼ポピュリズム化しているのには、そうした背景があります。

 今右翼ポピュリズムが台頭するのは、米国だけではありません。トルコ、ハンガリー、ポーランドなど世界各地に広がっています。これらの国では、独裁的な政治家が実権を握り、言論の自由を管理、制限して、三権分立まで破壊し、司法を政治のいいなりにさせようとしています。

 独裁的な右翼ポピュリズムを支援し、西側社会の価値観の根本である民主主義を混乱させ、その混乱の隙を見て、世界で覇権を握ろうとしているロシアと中国。世界は、独裁的な政治に支配されてはなりません。

 戦後、世界に民主主義を広めたのは米国だったはずです。その米国の政治においてさえ、米国共和党はトランプ大統領に寄り添い、民主主義を破壊することに加担しようとしています。共和党も、トランプ大統領と同じ穴のムジナだといわなければなりません。

 そういえば、トランプ大統領が4年前に大統領選挙で勝利し、トランプ詣をしたある国の首相がいました。元々右翼ポピュリストなだけに、当然だったのでしょうが、愚かな行為もいいところです。

 「ぼく、世界で一番先にトランプに会ったよー」ということを、自慢したかったのでしょう。それが国益だと思っているから、笑えます。こちらも、同じ穴のムジナです。

ドイツのメルケル首相(2018年夏)

 それに対して、トランプ大統領に徹底して媚びるようなことをしなかったのが、ドイツのメルケル首相だと思います。西側社会の民主主義という絶対的な価値観を守るため、いかに圧力をかけられようが、決してそれに屈しないという態度がはっきりしていました。

 トランプ大統領は、そういうメルケル首相が苦手でした。トランプ大統領が米国の覇権を盾に押そうが、決して平伏しないからです。民主主義を守るため、迫害されようが独自の道を歩む。カナダのトルドー首相もそうだったと思います。

 政治には、妥協が必要です。でも、絶対に譲ってはならないデッドラインがあります。それは、民主主義を守ることです。

 民主主義を破壊しようとする右翼ポピュリズムのはびこる現在、民主主義は危機に直面しています。ぼくたちは一人一人が自覚をもって、民主主義のために抵抗したいものです。

 現在、世の中がきな臭くなっています。それだけに、民主主義を擁護することが益々大切になっています。

(2020年11月27日、まさお)

関連記事:
温暖化懐疑論と米国大統領選について思う
ドイツのコロナデモを検証する(4)
ドイツから見た日本の内閣
権威主義に走るのはなぜ?
右翼ポピュリズム台頭の構図

この記事をシェア、ブックマークする

 Leave a Comment

All input areas are required. Your e-mail address will not be made public.

Please check the contents before sending.