さよなら減思力

変わらない日本

 久しぶりに記者会見で、台湾のジャーナリスト、リンさんに会いました。リンさんは先月(2023年2月)、台湾の家族、親戚と一緒に日本旅行にいってきたばかりだといいましした。

 台湾の春節(旧正月)に一時帰国し、その後に日本旅行をしたのでした。中国人ではまだ、コロナ禍で国外旅行が解禁されていません。それに対して台湾では、ようやく国外旅行ができるようになりました。

 リンさんは台北から、関西空港に飛びます。飛行機は普段はニューヨークなどに飛ぶ大型旅客機。大型機は、台湾人でいっぱいでした。台湾人の最初の国外旅行のターゲットが、日本になったのでした。

 リンさんたち家族の主な目的地は、京都でした。京都はどこに行っても、台湾人ばかり。台湾人が怒涛の如く、日本に行った感じだったと、リンさんは振り返ります。

 日本はこの時期、観光のオフシーズン。それでも、金閣寺や銀閣寺などメインの観光名所はどこも、たくさんの人でした。比叡山のホテルに宿泊したリンさんは、とても満足したといっていました、観光シーズンだったら、そんなところには絶対に泊まれなかっただろうと推測します。

 リンさんがはじめて日本にきたのは、15年前。それから数回、日本を訪れています。リンさんは今回、大阪の心斎橋がまったく変わってしまっているのにびっくりしました。

 しかしリンさんには、不思議でなりません。

 日本の街はどこにいっても再開発されて、とてもモダンに、きれいになっています。それに対して、日本社会は15年前からまったく変わっていないように感じてなりませんでした。市民の雰囲気も変わっていません。

 日本社会の外観だけがモダンに進歩して、変わっていました。しかし社会の中身が、それに応じて進歩していないように感じてしようがなかったといいます。リンさんはとても、違和感を抱きました。

 ぼくが日本の政治も何も変わっていないというと、リンさんは納得したような顔つきをしました。

ぼくのふるさと富山県から見える立山連邦の剱岳。日本の自然はどこでもすばらしい。それだけに、日本が観光立地国になるのはわかるのだけど。。。

 日本で変わったのは、日本が外国人のための観光立地国になったことだと思います。ぼくがそういうと、リンさんは「確かに、そういう感じだった」といいました。そして「日本は、ハイテクの技術国だったと思うけど」と、ぼくに聞きます。ぼくが「日本がハイテクだなあと感じたか」と聞くと、「まったくそんな感じはしなかった」とリンさんは答えました。

 そうです。日本は、世界の技術をリードするハイテク国でもなくなってしまったのです。ぼくがそういうと、リンさんは『日本の技術は、どうしてしまったの?』という感じの身振りをしました。日本は技術的にも、世界から遅れてしまいました。

 ぼくが「台湾はいいよね。チップでは世界をリードしているからね」というと、リンさんは「それが今、台湾が世界で生き残れる糧になっているんだよ。安全保障にもね」と、付け加えるのを忘れませんでした。

 リンさんが日本で感じたことは的を射ているなあと、思います。

 社会がいろいろな問題を抱えているのは、どの国も同じです。でも問題があれば、その問題は改善され、解決されるべきものです。しかし日本では、政治に社会の問題を改善する力も意思もありません。

 それでは、社会が進歩して変わっていくはずがありません。

 日本では、だらだらと長く働き、自分の時間のない生活が続きます。それが一生続くので、日本社会ではみんながくたくたに疲れ切っています。でもその働き方は、改善されません。改善できない社会なのです。そのパワーもありません。だから社会は、15年前と変わりません。

 こんな社会になったのは、どうしてなんでしょう。外国人の観光立地国になることで、少しでも日本を訪れる外国人から学ぶことがあればいいのですが。。。

 でもそれも、今の日本にできますか。

(2023年3月11日、まさお)

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関連サイト:
日本政府観光局(JNTO)

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