無責任な情報発信

 デジタル化とともに、たくさんの情報が氾濫するようになった。情報には、コメントを投稿することもできるので、情報がより拡散している。

 その情報をどう受け取っていくかは、各自の問題。ただ、個人ばかりではなく、社会全体も莫大な情報に振り回されていないだろうか。そうなると、社会問題でもある。

 この情報の氾濫において、一つ気になることがある。

 それは、情報を発信する側の素性がわからないことだ。素性を明らかにしなくてもいいので、無責任に好き勝手なことを「情報」として気軽に発信しているといってもいいと思う。

 日本のホームページには、発信者は誰か、サイト責任者が誰か明確に記載されていない。これは、とてもおかしいと思う。ネット上で、逆にパッシングされないようにするためだとは思う。しかし、サイトで発信する情報に対して責任を持つ必要がある。そのためには、責任者を明らかにして、問い合わせができるようにするのが筋道だと思う。

 個人情報保護について説明するだけでは不十分だ。

 たとえばドイツでは、サイトに「Impressum」というページを設けることが法的に義務つけられている。これは「Imprint(インプリント)」のこと。そこに、サイト発信者を明記するほか、サイト管理者と連絡先を記載しておかなければならない。

 これは、フェイスブックやツイッターにも適用されているはずだ。だから、ベルリン@対話工房のツイッターでは、サイトにあるインプリントにリンクしてある。

 ぼくは、フルネームとまではいわないが、コメントにも素性を明らかにすることが必要だと思っている。コメントであっても、自分の情報発信に責任を持つためだ。
 
 ホームページのHTTPS通信では、情報の暗号化ばかりではなく、情報発信者を確認できるようにするためのSSLサーバー証明書が発行されている。ただそれとて、ドメイン名が誰にでも取得でき、証明書はドメイン名の所有者確認でしかない。ドメイン名所有者が偽者だったり、フェイクニュースの発信者だったりすると、証明書があっても100%の保証はない。

 とはいえ、本人確認はデジタル化の安全性を高める上でどうしても必要な前提条件だと思う。義務つける必要はない。でも、本人確認された発信者かどうかを受け手が確認できる手段がほしい。

 後は、情報の受け手が情報が本物かどうか、事実かどうかを判断するワザを磨いていくしかない。

(2020年1月16日、まさお)

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