課税できない
デジタル化で、インターネット上のプラットフォームで集客して、商品を販売するビジネスモデルが広がっている。
買い手は、オンラインでクレジットカードなどで支払う。口座での決算は、買い手の自国で行われる。でも売り手は、どこにいようが関係ない。売り手は、自社本社の国で決算すればいい。
これは、デジタル化ゆえの決算方法だ。
商品については、買い手の国において発送元がどこかで、輸入税が加算されるか、消費税が加算されているはず。それに対し、プラットフォーム事業を展開する企業の利益は、企業本社の立地国か、あるいは経理処理国でしか課税されない。
プラットフォームが巨大化しているだけに、企業利益は販売が成立した国ではなく、プラットフォーム立地国に集中する。
ソーシャルメディアを展開するプロバイダーにも同じことがいえる。広告利益は、プロバイダーの立地国でしか課税されない。
これは、デジタル化でビジネスに国境がなくなっているからだ。
デジタル化とともに3Dプリンター化など自動化が進めば、ものつくりが自動化され、人という労働力は不要となっていく。
現在の課税制度は、労働に課税することを原則としている。でもデジタル化とともに、人の労働が激減する。既存の課税制度はもう機能しなくなる。
この問題を解決する一つの方法として考えられているのが、デジタル税だ。デジタル化による利益を各国でより公平、平等に課税して分配しようというのがその目的だ。
国のサービスを縮小して小さな国家にすればいいという考え方もある。でも、利益が一部に集中するだけでは、格差が拡大する。それでは、社会問題を発生させるだけだ。
機械による自動化が進んで人の労働が減った時、機械税を導入しようという動きがあった。でも、経済界などが反対して実現できなかった。
デジタル税についても、強大なプラットフォームが集中している米国が反対している。デジタル税を導入しようとしている国は、フランスなどごくわずかだ。
でも、デジタル化で得た利益がある特定の国だけに集中しては、社会は成り立たない。利益は、公平、平等に分配されなければならない。その意味で、デジタル税の中身がどうなるかは別として、デジタル化によるビジネスモデルが拡大するればするほど、デジタル税の導入は避けることができなくなると思う。
そのためには、国際的な協定が必要になる。しかし、各国の利害関係が複雑なので、世界はまだそれができないでいる。でも、それでいいはずがない。
デジタル化とともに新しい課税方法を考えないと、社会の均衡が保てなくなる。
ぼくは、これまでの税制をデジタル税と消費税を中心とした間接税制度に切り替える時期がすでにきていると思っている。そして、その税収をたとえばベーシックインカムの主要財源にすべきだと考えている。
なおベーシックインカムについては、ここではこれだけにして後の項でもっと詳しく述べたい。
(2020年1月30日、まさお)
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