工業国は持続可能な社会のお手本に
今、パリ協定を守り、カーボンニュートラルを実現することが求められている。そうしない限り、持続可能な社会を構築することはできない。
そのためには、まず工業国が二酸化炭素など温室効果ガスの排出を実質ゼロとするカーボンニュートラルをできるだけ早く実現することが必要だ。さらに、工業国と途上国の間の格差をなくすために、工業国が途上国を財政支援することも必要だ。
そのことについては、すでに前回書いた通りだ。ただこれに関連して、工業国にはまだまだやるべきことがある。
まずカーボンニュートラルをできるだけ早く実現するとは、何を意味するのかを考えたい。それは、工業国が単にカーボンニュートラルを実現するということではない。それ以上の意味がある。
それは、工業国がカーボンニュートラルを実現して、経済的にも社会的にもその方が将来便益があることを示さなければならないということだ。工業国がカーボンニュートラルを実現して、社会を持続可能にするお手本を示すのだ。そうしないと、途上国は工業国が過去にそう行ってきたように、石炭や石油などの化石燃料をベースとした社会造りを踏襲することになる。そうなると、持続可能な社会造りところではない。気候変動が激しくなるばかりとなる。
工業国はさらに技術革新によって、経済、社会生活に影響を与えないような形で省エネ化することを模索しなければならない。たとえば、家電製品の待機状態においてさらに省エネする必要である。一般家屋において断熱性の向上させ、低エネルギーハウスやゼロエネルギーハウスを実現して、脱炭素家屋を目指さなければならない。家電や家屋、自動車などに電気を使った無駄な高度機能をつけることで付加価値を上げることも、廃止するべきだ。
必要ない高度機能は、社会を豊かにする上で何の役にも立たない。無駄な消費を促すだけ。無駄な高度機能を売ることで経済が成り立っているようなら、それは経済の貧困さを示しているにすぎない。
工業国において取り組まなければならないのは、環境保護を巡る技術的な問題に止まらない。食生活など実際の生活にまで及ぶと思う。
たとえば工業国の食生活において、工業国の市民の欲を満たすために途上国において農業を拡大させ、そのために森林が破壊されてはならない。森林は、(光合成によって)二酸化炭素を吸収し、重要な二酸化炭素の貯蔵庫となっている。それを破壊すると、地球全体でカーボンニュートラルを実現するのは不可能となる。さらに工業国は、森林を拡大するため、植林に投資するべきだ。
そのためには、工業国はスローフードに心がけるべきである。スローフードとは、地元の食材や食文化を見直して、食料の地産地消化を進めることである。有機農業も、それに含めるべきである。
そうしない限り、地球規模で持続可能な社会造りを実現するのは不可能である。そのためには、工業国自らがそのお手本となって模範を示さなければならない。これまで、二酸化炭素など温室効果ガスを多量に排出してきたのは工業国だからだ。工業国が過去から学んでえりを正さない限り、途上国はついてこない。
それなくして、地球規模で共生、協働することはできない。
(2021年5月20日、まさお)
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