世代間の負担を公平に分配する

 ぼくたちはこれまで、経済成長を求めて、石炭や石油など有限な資源を使い放題に使ってきた。有限資源が枯渇したらどうするのか。そこまでは考えてこなかった。ポスト有限資源に向けて、有限資源をより有効に使うため、資源をリサイクルする循環経済という考えが出てきたのは、1990年代になってからだ。同時に、持続可能な発展という概念も生まれた。

 それまでは、有限資源を使い放題だった。不景気になれば、財政出動によって国が借金をして公共投資を促進。それによって、経済を立て直した。とにかく経済成長しかない。借金を誰が返すのかまでは、考えなかった。

 ぼくたちは今、気候変動の問題に直面している。石炭などの化石燃料を燃やして、二酸化炭素を排出してきた。二酸化炭素が地球の周りを覆い、太陽から地球に届いた熱(赤外線)が地球から逃げていけない。そうして、地球が温暖化する。それが、気候を変動させている。

ベルリンの壁公園で遊ぶこどもたちと大人たち

 ぼくたちは有限資源を使って、地球を破壊してきたといってもいい。経済成長ばかりに目がいって、地球の環境を保護することまで考えてこなかった。そのツケが今、現れているといってもいい。このまま地球が温暖化して地球の環境が破壊された時、後世の世代は生きていけるのか。後に残された世代は、破壊された環境を目の前にして、途方に暮れるだけになるのが目に見えている。

 どこかで、経済成長を求めるだけの社会にブレーキをかける必要がある。社会はようやく、そのことに気づきはじめた。しかしまだ、どうしていいのかわかっていない。カーボンニュートラルとなる脱炭素社会を実現しないといけないことだけはわかった。でもそれを、どう実現するのか。そのための施策は、まだ具体化していない。

 次の世代に残される負担は、それだけではない。今コロナパンデミックで各国政府は、莫大な財政出動によって救済措置を施している。その財政負担が、後の世代に押し付けられるのは間違いない。パンデミックで、国のや財政赤字は爆発的に拡大した。その借金は、後の世代の負担となる。

 これまで原子力発電を続けてきたことで、放射性廃棄物も後世の世代に残していくことになる。放射性廃棄物だけではない。放射能で汚染された環境と、放射性廃棄物を処分する財政負担も後世に残していく。放射性廃棄物を地層処分するとは、汚染した地層を後の世代に残していくということだ。

 ぼくたちはこれまで、目先の繁栄を求めて、豊かな生活を送ってきた。でもそれによって残った負担はすべて、後の世代が追うことになる。現代社会は、次の世代の負担で生きてきた。今もそうして生きている。

 これでは、社会は持続可能ではない。健全な社会とは、今享受する環境と豊かさをそのまま次の世代に引き渡すことができるような社会だ。でも現在、社会はまったくそのような状況にはなっていない。若者たちが、このままでは自分たちが将来、生きていけないのではないかと疑問に思って、立ち上がっている。それは、当然だともいえる。

 今の世代がもっと将来の世代の生活も考え、世代間の負担を公平に分配しないと、社会は持続可能にはならない。持続可能な社会は、エネルギーや環境だけの問題ではなく、ぼくたちの考え方や意識の問題でもある。頭の中まで持続可能にならない限り、世代間は平等にはならない。

(2021年8月19日、まさお)

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関連サイト:
持続可能な開発目標とは(国連開発計画(UNDP)駐日代表事務局)

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