世代間の公平性を求める

 前回、気候変動に対しては、脱蒸気機関と脱内燃機関を実現すべきだと書きました。それが脱産業革命でもあるのだと。

 それを実現するため、社会のいろいろな層が集まって議論し、社会的コンセンサスを求めるべきだとも書きました。

 こうして、社会が進むべき将来ビジョンを策定します。

 ここで、社会的コンセンサスを求める上で一つ重要な前提条件があります。

 それは、将来に向けて議論するわけなので、これまでの世代と、これからの次の世代の間で、どう公平性を確保するかという問題です。

 この問題を解決するには、再エネいろはの記事「今再エネに投資するもう一つの理由」(2019年10月2日掲載)において、今の世代が再生可能エネネルギーに投資して、エネルギー転換へ舵取りするしかないと書きました。

 なぜそうしなければらなかいかは、再エネいろはの記事に書きました。ここでは、それに付け加える形で、産業革命の問題について述べたいと思います。

 現代は、産業革命なしには考えられません。今の豊かさがあるのも、産業革命のおかげです。

 しかし、人類はここで大きな過ちを犯してしまいました。その過ちとは、石炭や石油など地下に埋蔵されている化石燃料を掘り出して、燃料として利用することです。それが、蒸気機関や内燃機関の基盤でもあります。

 この石炭や石油は、過去に生存した樹木や微生物を起源にしています。その中には、過去に変換された化学エネルギーがありました。そのエネルギーを取り出して利用することで、人類は技術的に格別な進歩を遂げました。

 しかしその化学エネルギーを蒸気機関や内燃機関に利用することによって、二酸化炭素などの温室効果ガスが排出されます。環境が汚染され、気候も変動します。

 それは、過去からきた化学エネルギーを利用して排出される二酸化炭素などの温室効果ガスを、今の生態環境が吸収することができないからです。その結果、二酸化炭素などの温室効果ガスは、地球を温室のように取り囲んでしまいます。地球は、熱を地球の外に放出できなくなりました。

 簡単にいえば、それが地球温暖化の原因です。

 環境汚染や気候変動によって、実はこれまで莫大なコストが発生していました。でもそれは、これまで環境汚染や気候変動を引き起こした産業界が負担するのではなく、社会全体で負担してきました。

 産業界がその負担を免除されたから、産業が発展できたということは否定できません。その発展によって、社会も恩恵を受けてきました。だからぼくは、一概にそれが問題だったと、単純にいうつもりはありません。

 ただ、その環境汚染や気候変動によって変わってしまった地球の環境は、もう元に戻すことはできません。これまで通りのことをしていては、環境汚染や気候変動が拡大されるだけです。それによって発生する負担は、これから益々増えていくばかりです。

 そして、その負担は次の世代が負うことになります。

 でも今生きる世代としては、それでいいのでしょうか。ぼくは、そうは思いません。

 これまでぼくたちが享受してきた豊かさと地球の環境は、できるだけ今のレベルか、今よりも改善できるような形で、次の世代に引き継ぎたいと思います。

この子たちの未来のために

 そのためには、脱蒸気機関、脱内燃機関は避けて通ることができません。でも、今の社会は蒸気機関、内燃機関をベースに成り立っています。社会の利害関係も、それに依存しています。

 そこから、脱皮するのはそう簡単なことではありません。

 でも、地球温暖化の原因がわかり、脱蒸気機関と脱内燃機関が必要なことに気づいた以上、それを実現するのは、今の世代に課せられた責任です。それは次の世代がやればいいのだと、今何もしないで悠々と暮らしているわけにはいきません。

 それによってまた、世代間に公平さをもたらすことになります。

2019年10月06日、まさお

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