共有と共用、共生の哲学
前回、「所有意識、資本主義、国家意識が変わる」の記事で、再生可能エネルギーとともに所有意識ばかりではなく、所有することの定義さえもが変わることについて書いた。
市民が社会の中心になると、個人で所有することが個人の自由の基盤とはならなくなる。社会を構成する市民にとり、市民の間で所有物が共有化され、社会資本として共用されることのほうが、所有物を自由に使えるようになる。共有と共用、共生が社会の基本へと変化していく。
たくさんのものが市民の間でシェアされ、シェアリング社会がくると思う。所有するということ自体がなくなるかもしれない。それとともに社会において、あらゆるものの公共性が増していく。所有することが、公的管理か協同管理に移転されていくことも考えられる。
特に、生活にはなくてはならないライフラインがそうなると思う。電気などのエネルギー、水道、通信、交通などだ。そこには、住宅も含まれると思う。住宅は市民が協同で建て、自治管理する集合住宅が中心となる。
エネルギーの分野では、再エネによる発電施設を市民が協同で設置、運用する。地域暖房熱源を供給するため、市民が協同で熱配管網を設置するケースがすでに、いくつも生まれている。これらの場合、市民が協同組合を設置する。集合住宅においても、住民が協同で再エネで発電、熱供給するために協同組合ができる。市民が協同で配電網を買い取ったり、公営化する試みも見られる。
ネット上では今、クラウドファンディングが普及している。それによって、市民が自分で、自分の活動のために資金調達できるようになる。ドイツでは、ベーシックインカムを試験的に普及させ、その効果を解析するため、毎月1回、ベーシックインカム受給者をくじ引きするプロジェクトがある。1年間、月1000ユーロ(約13万円)がベーシックインカムとして給付される。すでに1000人以上が、ベーシックインカムを受給している。その資金源は、市民の寄付などだ。
ドイツでは、自分の給与の一部を毎月、福祉団体に寄付している大学の先生もいる。これは給与さえも、共有、共用してもいいと考えているからだ。
生活においては、隣人同士の助け合いだ。ぼくの住む地区では、隣人のネットワークができ、アプリで繋がっている。アプリが登録された隣人同士で、たとえば工具やはじごの貸し借りを仲介する。おじいちゃん、おばあちゃんのいないこどものため、隣人のおじいちゃんやおばあちゃんが、小さなこどものために本を朗読することもある。おじいちゃん、おばあちゃんの貸し出しだ。ペットが好きでも、事情があって飼えない人もいると思う。そういう場合、隣人のペットの散歩や世話を申し出る。
こうしてその地区にあるものがシェアされ、コミュニティの絆が強化され、共生社会が形成される。
これら試みの根底には、自分の財産や報酬、持ち物を共有、共用に資するとする哲学がある。市民が中心となる社会では、この共有と共用、共生の哲学がその基盤になる。
(2022年2月03日、まさお)
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関連サイト:
日本のクラウドファンディング事例READYFOR
ドイツのベーシックインカム普及試験サイトMEINGRUNDEINKOMMEN(ドイツ語)