抗生物質の処方を避ける

 朝日新聞デジタル版の2020年1月03日の記事に、日本において抗生物質の6割近くが効果のないかぜなどに処方されているとあった。

 ちょっと目を疑った。でも、やっぱりという感じでもある。

 抗生物質は、細菌による感染用の治療に処方される。かぜなどウイルス性の感染には効かない。そのことは、ハナコとタロウの獣医でさえもはっきりと明言していた。

 でも、ぼくが日本で知り合った小児科医は、これは医師の問題だけではないのだと教えてくれた。かぜで熱を出したこどもの親から、熱が心配なので抗生物質を注射してほしいと泣きつかれることも多いのだという。

 医師は、熱が出るのは免疫性が働いてウイルスと戦っている状態を示し、一種の治癒プロセスなのだと説明する。しかし、親は納得しない場合が多いと語った。それで適切ではないと知りながらも、親を安心させるために抗生物質を使ってしまう場合もあるという。

 となると、抗生物質の乱用と誤用は、患者側の問題でもある。

 ドイツでも、抗生物質とステロイドがやたらに処方される。これは、対症療法を基本とする現代医学の根本的な問題だと、ぼくは思っている。現代医療ではそれ以外のことを教えられてこなかったので、医師の頭では、それ以外のことは思い浮かばない、想像もできないのではないかと疑っている。

 ハナコとタロウを獣医に連れていっても、獣医学の基本は現代医学と同じ。対症療法しかしていない。だから、何かと抗生物質とステロイドを使おうとする。

 まだ数歳と若いネコに、抗生物質やステロイドを使ってそれが効かなくなったらどうするのか。慢性化して、いずれ効かなくなるのは目に見えている。強い薬で副作用が出るもの心配だ。

 獣医の答えは同じだ。副作用は薬の量を調整してコントロールできる。効かなくなったら、別の薬を使いながら状態を見るという。

 それでは、薬漬けになって、薬を止めることができなくなる。ただ、獣医はそれは仕方のないことだという。まず、症状を和らげることが重要だと。

 からだの小さいネコでは、ちょっとした薬でも副作用が出やすい。薬を使うのは、ある意味で迷路に入るのと同じ。出口はもうない。

 ぼくは、抗生物質やステロイドを使う使わないで獣医と口論したこともある。獣医が無能なのではない。それしか勉強してこなかったのだから、他のことはわからない、無駄という感じだった。

 こういう状況だから、ハナコとタロウのことでは、獣医に抗生物質とステロイドを処方させないようにする戦いでもある。

 でも実際には、医師のいうことはすべて正しいと信じ込んでいる人も多いと思う。それが普通なのだと思う。でも、自分のからだ、自分のペットだ。病気のことは、患者として飼い主として、自分でしっかり勉強しておくことも必要だ。

 医師は全能ではない。絶対でもない。対症療法を基本とする現代医学を勉強して医師の資格を取得し、医療を行っているにすぎない。医療ミスではなくても、わからないままに薬を使って医療していることだって多々あると思う。

 だから、医師のいうことを疑ってみることも、セカンドオピニオンを聞いてみるのも必要なのだ。

 でも日本では、そうすると、もう診察してもらえなくなるからしないとよく聞くことがある。

 そういう医師なら、ぼくはもういかない。患者のことを考えるよりは、自分の権威と面子を守ることしか考えていないのだから。

2020年1月06日、まさお

関連記事:
2020年1月03日の朝日新聞デジタル版記事
抗生物質の6割、効果ない風邪などに処方 自治医大調査
抗生物質の処方を避ける
獣医のところにいく

この記事をシェア、ブックマークする

 Leave a Comment

All input areas are required. Your e-mail address will not be made public.

Please check the contents before sending.