抗生物質でアレルギー反応

 タロウが急死に一生を得たのは、前回書いた。抗生物質の入った点滴を受けるため、毎日、獣医のところに通った。そうしなかったら、タロウは助からなかったと思う。獣医からは、何かあったらアポイントがなくてもすぐにきなさいといわれていた。

 こんなに集中的に抗生物質を使ったのは、はじめてだった。タロウが再び食べはじめて体力を取り戻すと、体中に湿疹ができてきた。からだのあちこちにハゲができてしまうのではないかというくらいに、ひどいアレルギー反応だった。

 タロウはそれまで、ほとんど食べていない。食べはじめても、アレルギー反応の出ない馬肉のキャットフードしか与えていなかった。それなのにどうしてなのか。ぼくたちにはわからなかった。

 獣医の診察にいった時、獣医と話してその原因がわかった。タロウに使った抗生物質が、牛のものをベースに製造されていたからだった。タロウには牛肉に、アレルギー反応がある。湿疹が出て当然だった。抗生物質を集中的に使ったから、なおさらだった。

 獣医には、タロウのアレルギーは伝えてあった。でも獣医は、最も効果のある抗生物質を選んでしまったらしい。

 獣医は仕方かいなら、ステロイドを注射するという。ぼくはいやだった。でもアレルギー反応が結構ひどいので、1回だけ注射をして様子を見ることにした。獣医は元々、近いうちに腸の粘膜の組織検査をして、自己免疫疾患かどうかをはっきりさせたいといっていた。でもステロイドを注射したので、その影響がなくなるまで、検査はできない。獣医は、残念そうだった。

 ぼくたちはタロウに全身麻酔をかけてまで、そんな検査をさせるつもりはなかった。検査をしないちょうどいい理由にもなった。

 獣医は、湿疹に塗る抗生物質の乳液も処方した。湿疹をなめるとハゲるので、エリザベートカラーを首にまいて、湿疹をなめないようにさせなさいともいわれた。

 ぼくたちは、その抗生物質の乳液を使ったことがある。とても強い薬だが、湿疹にはそれほど効果がない。湿疹をかきむしって傷になっていると、乳液で傷口が荒れることも知っていた。処方されても、乳液は使わない。

 エリザベートカラーも、使わなかった。タロウは、エリザベートカラーを首の周りに巻きつけられるのをとてもいやがった。首の周りに一番湿疹ができやすく、ハゲができやすい。プラスチックのエリザベートカラーを首に巻くと、それでハゲになった皮膚を傷つけ、出血することもあった。ぼくたちは、エリザベートカラーも湿疹によくないことを知っていた。

チョッキを着せられたタロウ。首の上の黒いのがボタン

 どうしたらいいか、いろいろ考えた。そこで考案したのが、写真のチョッキだった。タロウにはじめて着せてみる。意外にもタロウは、それほどいやがらない。ぼくたちの体験では、タロウの湿疹にはこのチョッキが一番効果がある。タロウのアレルギーに苦労してきた体験の賜物だった。このチョッキについてはすでに、『タロウのチョッキ』で報告したので、チョッキの詳細はそちらを参照いただきたい。

 ステロイドを注射して1週間後、獣医の診察にいった。すると獣医は、このチョッキにいらく関心する。参考のために、写真を撮っておきたいという。

 獣医はタロウのアレルギーでは、ぼくたちのこれまでの体験にかなわいことを悟ったらしい。獣医は自分にはもう何もできないから、湿疹のことではもう診察にこなくていいといった。

2021年9月06日、まさお

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