5カ月間、嘔吐も下痢もない状態がつづく

 タロウは、高級な馬肉のウェットフードをよく食べた。あまり食べすぎて太らないようにするため、ウェットフードにゆでたジャガイモを混ぜてボリュウムを増やした。それも、よく食べてくれた。

 ぼくたちはこれで、タロウのやっかいな嘔吐と下痢から解放されたかと安心していた。実際タロウは5カ月間、嘔吐も下痢も何もしなかった。アレルギー反応もなかった。まったく別のネコになったような感じだった。

 ぼくたちは、ホッとした。

キャットタワーの頂上にいるタロウ

 馬肉の食事療法をはじめて、ちょうど5カ月ほど経った頃だった。突然、タロウが何も食べなくなる。長い間馬肉ばかりなので飽きたのかと思った。別の肉のウェットフードを与えたが、それもまったく食べなかった。そのうちに、嘔吐と下痢もはじまった。

 ぼくたちは何とか食べさせようと、いろいろ工夫した。でもダメだった。毎日、今日は食べてくれと祈るような気持ちだった。それが4日間も続いた。タロウが日に日に痩せていくので、これはまずい。すぐに、馬肉を勧めた獣医のところにタロウを連れていった。

 獣医は、再びエコー検査と血液検査をしたいという。タロウのためなら、仕方がない。獣医は、腸の粘膜が炎症を起こしていると診断。まず点滴に炎症を抑える抗生物質を入れて、体力を回復させるという。まず4日間毎日点滴をして、様子を見ようといわれた。毎日、タロウを連れて通った。タロウは点滴をしても、すぐには食べようとしなかった。相変わらず、何も食べない。点滴で命を取り留めていたようなものだった。

 タロウが少し食べはじめたのは、点滴を続けて3日後くらいだった。でもまだ少ししか食べない。それだけでも、格段の進歩だと思った。点滴4日目に、抗生物質の錠剤を渡され、それで1週間様子を見ようといわれる。それでも食べないで、調子がよくならないようならば、すぐにくるようにいわれた。

 弱っているタロウとはいえ、抗生物質の錠剤を飲ませるのはたいへんなことだった。いやがってひっかくので、ぼくの手のあちこちが傷だらけになった。食べない時は、ウエットフードをお湯で溶かして、それを針のない注射器で吸い上げ、口からドロリとしたウェットフードを食べさせようとした。ドロリとしたウェットフードを注射器で吸い上げるのは、そう簡単ではない。ウエットフードをごますり器で潰したが、それでも肉の粒が大きくて、注射器ではなかなか吸い上げることができない。

 それでも何回か、ドロリとしたウェットフードをタロウの口の中に入れることができた。ウェットフードが口に入っても、タロウはしきりに舌で口から出そうとする。餌を飲み込んだのは、数回だけだった。

 数日してタロウはようやく、自分から餌を食べはじめるようになった。タロウは今回、かなり危ない状態だったと思う。でも、峠を越したのだった。ぼくたちは安心するというよりも、ドーと疲れを感じた。

2021年8月02日、まさお

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