胃液を吐き続ける

 タロウが一命を取りとめたのは、すでに書いた。順番としては本来、その後にタロウの状態はどうなったのかを書いていくべきだと思う。その経緯を追っていかないと、今のタロウがどうなっているのか、よくわからないと思うからだ。

 ただつい最近、タロウにこれまでの症状とはまったく違うことが起こった。ぼくたちははじめてのことで、ちょっとどうしたのかと戸惑った。今これを書いておかないと、後で書くことはないだろうと思う。そのため今ここで、ちょっと最近あった奇妙な症状について書いておきたい。

 朝起きて、タロウをベランダに出すと、タロウはすぐに猫草のところにいって、草の葉をかみ出した。それはよくあることだし、まもなく吐くのかなと思っていた。

 案の定、タロウは少しして吐いた。泡状の液体に猫草の葉が混じっていた。それで済むのかと思ったら、嘔吐が止まらない。何回も何回も、透明な液体か泡状の液体を吐き続けた。

 これは多分、胃液だと思った。その時食欲があれば、少し食べると嘔吐が止まったことがある。今度もそれかなと思った。確かにタロウは、餌を食べたそうだった。餌を与えると、食いつきがいい。それで十分食べれば、嘔吐は収まるのかなと思った。

 でもタロウは食べながらも、嘔吐し続ける。そのうちに、嘔吐するのも苦しそうになった。

 タロウのからだを縦にして胃液が上がらないようにして、お腹をさすってやった。それでタロウは結構、楽になったような気がする。しかし、4つ足で歩きはじめると、また吐き出す。

 からだを起こしてお腹をさするのを何回も繰り返してやった。その後、タロウはキャットタワーに上がる。少し落ち着いた様子だった。2、3時間、キャットタワーで寝ていただろうか。でもキャットタワーから降りてくると、また胃液を吐き出した。胃液には血が混じっていない。それだけでも、少しは安心だった。

 そのうちに、餌もほとんど食べなくなった。午後遅くなると、空咳のようにして吐き出す。胃液がほとんど空になったからではないかと思う。

 まずいと思った。朝から水を飲んでいないし、水分不足だとよくないと思った。

 ネットでいろいろ調べてみた。しかし、胃液を吐く時の病気の可能性についてしか情報がない。こんなに長く胃液を吐き続けるような症状は、どこにも事例がなかった。タロウが吐いて下痢をする時は必ず前兆があるのに、今回はそのプロセスを経ないで、いきなりだった。何が起こったのだろう。まったくわからなかった。

 ぼくが心配したのは、胃液を吐き続けて水分不足になること。それと、食道などに何か異物が詰まっていて、それを吐き出そうとして胃液を吐いていることだ。そうだと、困るなと思った。

サプリメントが黒いので、鼻の頭にサプリメントをつけて黒くしているタロウ

 かかりつけの獣医にメールで相談していたが、返事がこない。仕方がないので、夜も診療してくれる獣医のところで診てもらうことにした。そこはベルリンでも大きな動物病院で、タロウはそこのおかげで急死に一生を得た。

 夜遅いので、あの時タロウを診てくれた獣医はいない。コロナ禍につき、付き添いは1匹に1人だといわれる。症状をよく知っているのがぼくなので、ぼくが付き添うことにした。連れ合いは、動物病院前にある外のベンチで待つことになる。

 当直は、若い女性の獣医だった。すでにタロウのカルテにある記録を見ているので、慢性腸炎のことしか頭にないようだった。触診した限りでは、腸に少しはりがある程度だという。胃液が出るということは、腸とはそれほど関係がないのではないか。ぼくはそう思った。

 ぼくが心配しているのは、水分不足と異物が詰まっていることだといった。獣医はタロウの皮膚をひっぱって見て、水分はそれほど不足していないだろうという。

 後は、レントゲン撮影かエコーをして、血液検査もしてみないと症状は判断できないという。いずれにせよ、点滴をしたほうがいいだろう。そういった。その時に、腸炎を抑える薬も入れるといった。タロウが一命をとりとめた時に使った薬をまた使うだけだろうと思ったが、その通りだった。

 不思議なことに、タロウは獣医ところにくるまでと、その後も診察中もまったく吐かなかった。どうしてなのか、ぼくにはよくわからなかった。

 ぼくはまず、レントゲン撮影で異物が詰まっていないことを確認しておきたいと思った。さらに水分が減っているので、点滴をしてほしい。外で待つ連れ合いには、携帯電話でそうしてもらうと伝えた。

 獣医もそれで、納得してくれた。ぼくはレントゲン撮影の結果が出るまで、少し待たされた。診察室に呼ばれると、レントゲン写真を見せられた。とてもきれいな感じだった。胃が小さく見える。これは今日、あまり食べていないからだと説明された。腸はわずかに炎症を起こしている感じだが、心配するほどでもないという。

 ぼくはホッとした。その後点滴すると、獣医からは様子を見るために、翌日診察にくるようにといわれた。それで次にどうするか、判断しようという。しかしぼくは、点滴しておけばまずはそれで十分、翌日に診察にきても原因はわからないだろうと思った。それなら、診察にくる必要はない。

 ぼくは、タロウのからだがタロウに与えていたサプリメントについていけなくなった可能性があるのではないと思った。それなら、ぼくたちがその量を調整すればいい。翌日もタロウの具合が悪く、必要なら診察にくるればいい。

 ぼくたちは、翌日のアポをもらわないで帰ってきた。自宅についた時はもう、かなり夜遅くなっていた。タロウはもう吐かない。餌がほしいという。餌を与えると、タロウは食べ出した。

 翌朝、タロウの餌の減り具合を見た。それほどたくさん食べたという感じではない。でも夜中に、多少食べたのは間違いない。タロウはもう吐かないし、元気そうだ。

 ぼくたちはまず、今与えているサプリメントの量を少し減らして、様子を見ることにした。しかしタロウのことでは、相変わらず世話がかかり、心配が絶えない。

 まったく『親孝行』な奴だ。

2021年10月11日、まさお

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